”親の総取り”
エンドスウィープ(父フォーティナイナー)は現役時代にアメリカのGⅠ・ハイランダーS(ダート1200m)勝つなどスプリント路線で活躍した。彼の名前“End Sweep”を日本語に訳せば『直線一気』という意味だが、カジノで負けが込んでいながら最後の大勝負に勝って相手のチップを根こそぎ手に入れたような場合にも“End Sweep”という言葉が使われることがある。
もともと“スウィープ”とは「掃く」という意味で、カーリング競技で選手がせっせと氷を掃く動作が「スウィープ」と呼ばれているし、日本では「3タテ」と呼ばれるプロ野球の同一カード3連勝のことを、メジャーリーグでは「スウィープ」と呼ぶことをご存じの方も多いだろう。
また、競馬ファンであれば、よもや「ステークス」という言葉を聞いたことがないということはあるまい。
もともと「ステークス」とは「スウィープ・ステークス」の略で、文字通り”stakes”(賭け金)を”sweep”(一掃して独り占めする)ことである。レースに参加する馬から一定額の出走登録料を徴収し、勝者がそれを総取りする方式は現在のレース賞金配分の原形となった。
エンドスウィープは米国で新種牡馬チャンピオンとなったのちに日本に輸入され、ラインクラフトやスウィープトウショウ、アドマイヤムーンなどの活躍馬を送り出したが、来日3年目の春に早世してしまった。わずか11歳という若さだっただけに、なおさら惜しまれる死である。
急遽、エンドスウィープの後継としてアメリカから輸入されたのが、エンドスウィープ産駒のスウェプトオーヴァーボード。この長ったらしい馬名の由来はやはりギャンブル用語にあって「ひとり勝ち」とか「親の総取り」などの意味がある。
”Swept Overboard”を直訳すれば「テーブルの上を一掃する」という意味であり、テーブルの上にあるものとは、すなわち「チップ」に他ならない。2歳でデビューしてすぐに勝ち上がり、3歳春に重賞タイトルも獲得し、さらに5歳になって1600メートルのメトロポリタンH(米GⅠ)を史上4番目のタイムで優勝するなど、父とは異なり、距離の融通性や成長力を示したところに、私などは種牡馬としての魅力を大いに感じる。
私が共同所有するポーカーアリス(牝2) は、そのスウェプトオーヴァーボードの産駒。おかげさまで先月19日の旭川アタックチャレンジ競走で1着になることができ、昨日付けでも書いたように、選出されれば8月25日のJRA札幌クローバー賞を予定している。
彼女の名は、アメリカに実在した伝説の女性ギャンブラー、ポーカー・アリス女史にちなんで命名した。もちろん父「親の総取り」からの連想である。
ポーカー・アリスは”伝説の”人物であるから、実際に彼女がどれほどの強さを誇ったのかは謎に包まれている部分が多い。しかしながら、かなり若い時期から無敗を誇っていたことだけは間違いないようだ。波乱に富んだ彼女の「ギャンブラー・ストーリー」は映画にもなっているから興味のある方は御覧になってみるといい。ちなみにアリスを演じているのは、かのエリザベス・テイラーである。
『Poker Alice』(1987年公開)
http://www.amazon.co.jp/Poker-Alice-Elizabeth-Taylor/dp/6303077684

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