2012年5月22日 (火)

カレー屋は昼の顔

銀座3丁目の新聞会館ビル。WINS銀座から目と鼻の先の位置にあるワイン食堂『KATSUZO』(かつぞう)は、夜は様々なワインが楽しめ、昼は黒豚料理をメインにしたランチメニューを揃えている。

Katsuzo  

ポイントは、ランチメニューのこの部分。

Menu  

ここですよ。

Menu2  

おかわり自由のライスと、おかわり自由のカレーが出会ったとき、何が生まれると思いますか?(スリムクラブ・真栄田風)

Katsuzo2  

デブです(笑)

Katsuzo1 

事実上「カレーライス食べ放題」になるわけですからね。カレーの味はごく普通とはいえ、デブには危険極まりないシステムなわけですよ。

ちなみにこの店、土日も営業していて、店内で新聞広げて馬券検討しながら、ちょいと席を立ってWINSに馬券を買いに行って、また戻ってくる自由な客で賑わっている。なんというか、競馬場内の食堂みたいなお店です。

夜はワインで昼はカレーという店なら、WINSから昭和通りを渡った2丁目に店を構える『PAUL』(ポール)の方が秀逸だ。カウンター中心の狭い店内は、正午前から近隣のサラリーマンやOLで満席になってしまう。なかでも月曜日限定のビーフカレーは出色の旨さ。何かと憂鬱な月曜日が、逆に楽しみに変わるという点において、この店の存在はとても有難い。

Poul  

このように、昼と夜で店のスタイルをガラリと変える店は、銀座では少なくない。特に「昼はカレー専門店」という店は多く、もとから一流の店が軒を並べる銀座だけに、そのレベルは本来のカレー専門店を凌ぐものがある。

WINSを出て、『KATSUZO』を右に見ながら歩き続け、三原橋で晴海通りをくぐり6丁目までやってくると、右側のビルの2階に『楸』(ひさぎ)という牡蠣の専門店がある。

Hisagi  

この店も昼間の顔はカレー店。おおぶりな牡蠣やレアに焼かれたステーキをトッピングした黒いカレーは、やや甘口ながら舌触りがよくコクがある。3杯でも4杯でも食べられそうな味わいだ……って、それがイカンわけですよね(笑)

これからカレーがますます美味しくなる季節。だからといって、食べ過ぎには注意しましょう。

 

 

 

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2012年5月21日 (月)

一杯のラーメン

今でこそ、うどんや蕎麦ばかりの生活をしているが、中学生の頃は毎日のように近所のラーメン屋に通っていた。

客の少ない午後3時過ぎなら、ラーメンを食べ終えてなお漫画雑誌のページをめくっていても、別に咎められることもない。そのうちに友達が店にやって来る。漫画を読みつつ、彼らがラーメンを食べるのを待ってから、やおら遊びに出かけるのである。すなわちラーメン屋が我々の待ち合わせ場所だった。

ラーメン一杯の値段は350円。同じ頃にマクドナルドが390円の「サンキューセット」を売り出していたが、それよりも安かったのである。しかも、マクドナルドなんかよりも遥かに美味いし、量は比較にならない。強烈な匂いの立ち込める煮干しスープは、当時としてはまだ珍しかったと記憶しているが、私はすっかりその味の虜となっていた。

Ramen  

先週半ば、久しぶりに暖簾をくぐると、御主人は相変わらずカウンターの中で巨大な茹で釜に対峙していた。

午後3時過ぎということもあり、客は私一人。昔話をするにはちょうど良いが、そろそろ下校時間のはず。かつての私たちのように、学校が終わって、すっ飛んでくる中高生が来るものと思っていたのだが、そんな気配はない。

「最近は中学生も高校生も来ないね」

私の心境を察したかのように御主人が呟いた。

「昔と違うからね。学生がラーメン一杯に750円も出せないだろ」

私は深く頷く。あれから30年。世間一般のラーメンの値段は上がったが、マクドナルドはむしろ値下がりしている。いや、それよりも、ここで友達と待ち合わせする必要などないのであろう。携帯で“今どこ?”と言えば済むことだ。「待ち合わせ」という言葉自体が、もはや死語になりつつある。

「時代が変わった、ってとこかな」

御主人がまだ修行中の頃、毎週土日になると早朝から生麺を東京競馬場に配達していたのだそうだ。40玉入りのトレー50枚とういから凄い。

「それでも足りなくなったりしてさぁ。大至急持って来い!なんて怒鳴られて、慌てて車を飛ばしたもんだよ。そのくせ、余ったら返品なんだから、たまんねぇよなぁ」

「それにしても2千食は凄いですね」

「昔の競馬場ったら、ラーメンとか蕎麦、うどんしかなかったろ。一杯200円で、たしか馬券と同じ値段だったかな?」

今は馬券は100円から買える。一方、場内のラーメンは500円といったところか。ここでもラーメンは肩身が狭い。

御主人は、関係者用の通行証でスタンドに出入りしていたが、忙しくてとても馬券を買う暇はなかったそうだ。

「だけど、練習中の馬はいつも見てたよ。尻尾とかたてがみが朝日に光ってさ。芝生の緑と相まって、きれいだなぁと思ったもんだ」

Chokyo  

こういう話を聞くと、たまには競馬場のラーメンを食べてみたくなる。よし、今週は久々にラーメンだな。

 

 

 

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2012年5月12日 (土)

蕎麦屋で一杯

蕎麦というのはワインなどと同じく薀蓄の温床であるので、あまりうかつなことは書けないのだが、蕎麦屋で飲む時のアテについてならば、それほど神経質になることもあるまい。

最近では「蕎麦屋で一杯」というのが大人の飲み方という具合にもてはやされて、夜の蕎麦屋が存外混み合って驚かされたりする。ただ、見ていると、席に着くなりとりあえず出汁巻を注文する率が多くはあるまいか。むろんそれも悪くはないのだが、まずは焼き味噌や叩き海苔といった軽めのアテでお酒を一本飲んでみてはいかがだろう。しかるのちに、出汁巻や鴨焼き、あるいは天ヌキでもう一本を飲む。そして最後に、蕎麦を手繰りながらもう一本。それでシメる。

Yakimiso  

焼き味噌を最初に当てるのは、それ自体が酒を恋しくする味わいだからだ。大井競馬場から歩いて10分。大森海岸駅のほど近くに店を構える『布恒更科』の焼き味噌は、蕎麦の実を混ぜた練り味噌をしゃもじ塗りつけ、こんがりと焼いて出されてくる。味もさることながら、その香ばしさが素晴らしい。盃の合いの手程度にちょいと舐めれば、その後の酒の進み方が断然違ってくる。

むろん、こちらの店では美味い蕎麦を味わうこともできる。

メニューのひとつ「御前更科蕎麦」は、蕎麦の実の芯の部分だけを挽いた粉を使った真っ白な蕎麦。蕎麦特有の香りも控え目だ。だが、もともと更科というのは、香りよりもきめ細かな口当たりと喉越しを楽しむもの。それゆえ、つゆは江戸前の濃い目で、その主張も強い。

Soba  

若くして亡くなられた江戸風俗研究家の杉浦日向子さんも、大の蕎麦好きだった。「東京のソバ屋のいいところは、昼さがり、女ひとりふらりと入って、席に着くや開口一番、『お酒冷やで一本』といっても、『ハーイ』と、しごく当たり前に、つきだしと徳利が気持ち良く目前にあらわれること」と著書に残されている。さらには「究極の酒のアテは蕎麦湯である」とも。

杉浦さんの境地に達するにはまだまだだなぁ、と思いつつ、最近築地にできた『布恒更科』の暖簾をくぐった。実はここ、大森のお店の支店である。見ればそこには女性の一人客。徳利を片付け、ざるで締めている。市場で働いている方だろうか。その格好良さにほれぼれした。

 

 

 

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2012年5月 7日 (月)

ハムカツの魔力

先日の東京競馬場にて。

スタンド4Fから5Fに向かうエスカレーターに乗りこんだら、隣の下りエスカレーターに見知った顔を見つけた。競馬場は広いようで案外狭いもの。雑踏ひしめくエスカレーターの、ちょうど中間あたりですれ違うその光景を傍から見れば、ドラマのワンシーンのようにも見えたかもしれない。

ところが、このブログのご愛読者でもあるその相手は、すれ違いざまに開口一番「こないだの餃子三昧はすごかったようですね」とおっしゃった。(爆)

まあ、周囲にもそれほどインパクトが強い出来事だったわけだ。だが、昨今では餃子は意識的に控えている。のみならず、ラーメンもトンカツも焼き肉も牛丼もナポリタンも禁忌の毎日。実は人間ドック受診を控えており、脂っこい食事はNGなのである。酒も一切飲まず、代わりに1日3本の黒烏龍茶を欠かさない。

付け焼刃の食生活改善ごときで、体質が改善するはずもないのだが、何もしないよりはマシであろう。ようは姿勢の問題である。脂っこいメニューは人間ドックが終わってからのお楽しみだ。

ところが、今日になって東銀座『チョウシ屋』の前をなんとなく通りかかったところ、ついついハムカツサンドを購入して、その場でバクバクと食べてしまったのである。実にアッサリと禁忌は破られた。

Chohshi  

店頭の商品ケースを前にして、「あのハムカツサンドめちゃめちゃ美味そうだな。でも、人間ドックあるしな。でも、我慢できないな……ああ、どうしよぉぉ……」なんて葛藤があったわけではない。何も思うところなく、ごく自然に店に近寄り「ハムカツサンドください」と言ってしまった。魔が差したとしか言いようがない。だいたいが、『チョウシ屋』でコロッケを買うことはあっても、ハムカツを買うことなど滅多にないのである。

Ham 

あれほど注意していたのに、なぜであろうか?   熟考の末、はたと膝を叩いた。

先日、競馬場のエスカレーターですれ違った知人は、たしかハムカツマニアでもあったはず。そのイメージが知らぬうちに私の脳に刷り込まれ、無意識のうちに行動を起こさせたのではあるまいか。もしそうだとしたら、餃子に人生を捧げるカメラマンI氏とすれ違ったりしたら、無意識のうちに中華料理店の暖簾をくぐってしまいそうな気がする。先月の餃子三昧の日々も、実はそんな意識下の行動がもたらした結果なのかもしれない。だとしたら、この餃子っ腹をどうにかしてくれと文句の一つも言いたくなってきた。

ともあれ、ハムカツ1枚程度なら検査にさしたる影響を及ぼすことはあるまい。エスカレーターのすれ違いひとつでアレコレいろいろなことを考えてしまうのは、それだけ脂っこい食事に飢えている証であろうか。

ところで、自動車業界の一部には人間ドックを「車検」と呼ぶ人がいるらしい。また、別の業界には「オーバーホール」という呼び名もあるとか。まあ厳密に言えば意味合いは異なるが、イメージ的には近いものがある。むろん競馬関係者の間では「短期放牧」。ああ、それにつけても脂が恋しい。

 

 

 

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2012年4月24日 (火)

ミシュランの★、競馬新聞の◎

昨日の続き。ミシュランガイド北海道版の話です。

ミシュランはあくまでミシュランであって、星を逃したり、掲載から漏れたからといって、我々の内なる評価を下げるべきではない。蕎麦店大健闘の中にあって、『いずみ食堂』が掲載から漏れたことは非常に残念な気もするが、まあこれはミシュランの精神からして当然のことでもあろう(笑)

ミシュランガイドの調査方法や編集方針には批判が絶えず、聞き及んだトラブルの話もひとつやふたつに留まらないが、少なくとも「食」への関心を喚起せしめたという点に限れば評価できる。ともすれば、安ければ味などどうでも良いという風潮になりがちな我が国の食事情に、定期的に釘を刺してくれる存在はありがたい。

さらに言えば、この本が呼び水となって、ミシュラン以外のガイド本に活気が出ていることにも注目する必要があろう。点数評価サイトの登場により、停滞を極めていたグルメガイド本が見直されてきた。「みんなの意見」から「プロの意見」への回帰。そのきっかけを、ミシュランガイドが作ったのだという。

かつてグルメガイド本の作成に携わった経験から、ちゃんとしたものを作ろうとすれば膨大な時間と費用がかかることは承知している。その割に出版元の実入りは少ない。だから手を抜いたガイド本も中にはある。実際、手を抜いても読者にはあまり気づかれないものだ。だが鋭い読者は、ちゃんと見抜いてしまう。そういう意味では競馬新聞に通ずるところもある。確かなファンは確かな新聞を選ぶものだ。

それでもいっぱしの競馬ファンなら、新聞の◎を鵜呑みにするようなことはしないだろう。同様に、いっぱしの食通はミシュランの★に踊らされるようなことはない。万人が支持する競馬評論家がいないように、万人に受け入れられるレストラン評価本などないのである。

Yosou  

「そんなことをうだうだ言われんでも、そもそも北海道のミシュランに興味などないわ!」という貴兄には、日本軽種馬協会が運営するサイト「JBIS」に掲載されている「馬ミシュラン」をおススメする。日刊競馬のベテラン記者・小山内完友氏のコラムは、ライトな口当たりの中に含蓄の風味たっぷりで、食べ応え、もとい読み応え十分。大事なテーマを単に分かりやすく書くだけなら有り難みは少ないが、それを読みやすく書くというのは、誰にでもできる芸当ではない。

 JBISコラム「馬ミシュラン」
 http://enjoy.jbis.or.jp/column/osanai/index.html

 

 

 

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2012年4月23日 (月)

ミシュランガイド北海道版

「ミシュランガイド北海道2012特別版」が発売になったばかりの北海道では、早くも品切れになる書店が相次いでいるのだそうだ。向こうの知人から、「そっちで手に入らないか?」というメールが来たので、2、3軒書店を除いてみたが、それらしい本は見当たりませんでしたね。まあ、それほど真剣に探したわけではないですが(笑)

東京版、関西版に続く、国内3地域目の発売。最高評価の「三つ星」に4店が選ばれたのをはじめとして、星を獲得した店は69店に上った。さらに、東京版や関西版とは違い、星は付かないお薦めの店として409店が掲載されている。

タイヤメーカーのミシュランがガイドブックを出版したそもそものきっかけは、車で遠出すればその分タイヤが減って、買い替え需要が増すだろうと目論んだことによる。本場フランスのミシュランガイドを読めば分かることだが、地方のレストランはパリほど水準が高くないため、星のつかないレストランも多い。先に刊行された東京版、関西版は星付きレストランしか掲載されていなかったが、これはミシュラン的には異例なことで、素朴な地方料理を紹介する北海道版の方が、実はミシュランの理念に近いともいえる。

今回はラーメン店が掲載されたことが話題になっているようだが、私が掲載店のリストを見た最初の感想は「蕎麦店が意外に頑張っているな」というものだった。星を獲得した69店のうち、一割の7店が蕎麦店である。「ミシュラン東京2012」では293店に対して12店にすぎないから、北海道の蕎麦店は大健闘だ。「ビブグルマン」評価まで加えれば、蕎麦店の割合はさらに高まる。

事実、北海道は蕎麦の一大産地であり、本当に蕎麦の美味しい土地柄である。これを機会に、「北海道=寿司、カニ、ラーメン」というステレオタイプな食のイメージから脱却を果たせないものか。私個人はミシュランガイドにネガティブだが、そういう効果が期待できるなら此度の出版は大いに歓迎したい。

たとえば競馬ファンにおかれては、この夏の牧場めぐり&札幌競馬ツアーに際し、

 日高『香雪庵』 評価=おススメ店
 安平『そば哲』 評価=ビブグルマン
 桑園『こはし』 評価=★★

Soba_2  

という「ミシュラン掲載蕎麦店巡り」はいかがだろうか。競馬と北海道の蕎麦を堪能する旅。観光客用のレストランでロシア産の冷凍ガニを食べまくるよりはよっぽどマシであろう。たまには『いずみ食堂』以外の蕎麦もイイもんです。

 

 

 

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2012年4月20日 (金)

ワンタンにかける!

たまたまお互いが田園都市線沿線に住んでいることが判明した某競馬記者と某馬主のエージェントと私の3人で飲むこととなった。三軒茶屋『赤鬼』の狭いテーブルを囲んでの競馬談義である。話題が地方競馬関連に流れたところで、エージェントが「スーパースプリントシリーズって変だよな」と言いだした。

Aka  

「スーパースプリントシリーズ」は、6月から7月にかけて全国の地方競馬を舞台に行われる短距離戦のチャンピオンシリーズである。いずれも1000m以下の距離で実施され、各地のトライアルを勝ちあがった韋駄天たちが、ファイナルとなる習志野きらっとスプリントで雌雄を決するという流れだ。昨年から始まって今年が2年目。昨年は笠松のラブミーチャンが初代チャンピオンに輝いた。

「そんなこと知ってるよ。シリーズそのものがおかしいって言ってんじゃなくて、えーと、なんだっけ? あの、ほら、変なコピー」

酔っ払いの会話なので、なかなか言葉が出てこない。

「“ワンターンに駆ける”ってやつ?」と記者が助け舟を出した。

「そう、それそれ。あのさ、“one turn”っていったら、“一周”とか“一回転”って訳すのが普通でしょ」

「そうですね」

「でも、あれは、それを承知で“半周のレース”っていう意味で使ってんだよな。それがヘンなんだよ」

彼の力説に我々2人も頷かざるを得なかった。酔っ払いの演説にしては珍しい。

「コーナーを1回まわるだけのレースをアピールしたいなら“ワンコーナー”でいいじゃん」

「でも、実際には3コーナーと4コーナーの2つのコーナーを回るんだぞ」

「半周なんだから“ハーフターン”でどうだ?」

「なんか新発売の発泡酒みたいなネーミングだな(笑)」

「コピーとして強さが感じられないよ」

「そもそも競馬のシリーズにコピーなんかいるのか?」

「コース形態を前面に押し出すから話がおかしくなるんだよ」

喧々諤々の議論が続き、とても出口が見えそうになくなったので、河岸を変えることにした。飲んだあとの〆と言えばラーメンが定番である。歩きながらもまだ「ワンターン議論」が収まる気配がないので、ちょいと距離を歩いて『茂木』の暖簾をくぐった。

で、注文したのが……、

Wantan  

ワンタンメンですね。ま、「ワンタンにかける!」ってコトでcoldsweats01

ワンタンと聞くと、八ツ橋のような薄っぺらいやつを想像される方もいらっしゃるかもしれないが、あれは正確には福建省の「扁食(ペンス)」という料理である。福建省出身の華僑が長崎でペンスの店を出し、なぜかそれが「雲呑(ワンタン)」として全国に広まったというのだ。

団子ほどの大きさに丸めた餡をワンタン皮の真ん中に置き、四隅を摘んで一か所でまとめギュッと押さえると、テルテル坊主を逆さにしたような形になる。それこそが正真正銘のワンタンにほかならない。こちらの店のワンタンは特に大きく、食べ応えは抜群。巨大な餡を包むワンタン皮も分厚くて存在感たっぷりだ。

これを目の前に出されたら、どんなうるさい酔っ払いもおとなしくなってしまうもの。ワンターンのおかげで、美味しいワンタンを食べることができたのだから、まあヨシとするか。それにしても美味いね。

 

 

 

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2012年4月16日 (月)

中国5千年の叡智

もとより餃子は嫌いではないし、現場に行けば餃子命のカメラマンからあの店の餃子を調べてこいとか、その店の餃子の味を盗んでこいとか、何かと無茶ぶりを喰らうので、餃子を食べる機会は人より多いかもしれない。

とはいえ、昼夜を問わず餃子がこれほどまで続く食生活というのは、いったいどうした理由によるものか。

始まりは先週水曜夜の「川崎春の餃子祭り」であった。川崎市役所向かいの『天龍』で「餃子食べ放題コース」を注文し、しこたま餃子を胃袋に送り込んだ。

Tenryu 

夕方から府中本町に出掛けた翌木曜日は、駅前の『王将』で当然の如く餃子定食を注文した。

金曜はブログにも書いたように、昼に銀座『天龍』の巨大な餃子を飲み込み、返す刀で夜は川崎『成喜』で歴史ある餃子を堪能したのである。

土曜は自宅にいたのだが、あいにく家人が多忙で夕食の準備ができないという。食べに出ようにも、朝からの雨がやむ気配もない。ならば出前でも取るか、ということで娘らに「ピザでもカツ丼でもなんでも取っていいぞ」と言ったら、あろうことか「中華が食べたい」と言う。ちなみに近所のラーメン屋に出前を頼む時は、何があろうと餃子2枚をつけるのが我が家の掟である。

Gyoza  

中山最終日の昨日は、競馬関係者によるとある打ち上げ会にお招き頂いた。会場は銀座の『筑紫樓』である。言わずと知れたフカヒレの名店だが、よりによって幹事役の方がこのブログの愛読者でもあり、「●●さん(私の名前)は餃子がお好きだから」と、私の目の前に餃子の山を積み上げてくださったのである。お心遣いにいたく感謝しつつ、フカヒレを横目に黙々と蒸し餃子を食べ続けた。

NECに務める知人を尋ねた今日の昼。「美味い店がある」があると連れて行かれたのは、慶應大の筋向かいにあるカウンター席だけの小さな餃子屋であった。

Mita  

こうなるといちいち驚くことすらなくなってくるが、この店の餃子の美味さにはビックリ。なるほど、人に紹介したくなる味だが、いかんせん店に名前がない。不思議な店である。

むっちりした食感の皮に包まれた餡はしっかりまとまっていて、食べ応えもある。いただいたコメントにもあったが、ベチャベチャの餡を「ジューシー」と言って喜ぶのはいただけない。こちらの店では、あらかじめ包んで冷凍してあるものではなく、包みたての餃子をすぐに焼いている。ゆえに野菜から水分が出て皮に染み込むこともない。なんでもかんでも「柔らかければ美味い」という風潮は、そろそろ改める時期であろう。

そして   もう薄々お分かりだと思うが   今日の夜も餃子だったのである。とある企画の打ち合わせの会場に指定されたのは、あろうことか銀座『天龍』であった。こうなれば、もはや偶然と済ますわけにもいくまい。なにか大きな力に流されているような気さえしてくる。餃子の神の見えざる力だろうか?

だが、もともと我々の業界では、打ち上げや打ち合わせに中華料理店が使われることが少なくない。その理由は他の料理店ではまず見ることのない、あの巨大な円卓にある。ライター、編集者、コーディネイター、そしてカメラマンといった具合に様々な立場の人が集まる会食では、あの円卓がまことに都合が良いのである。まことに中国5千年の叡智には頭が下がる。

ところで、これほど油っぽい中華料理をずっと食べ続けているというのに、胸焼けに苦しんだり、胃腸の調子が悪くなったりすることがないのである。

これも中国5千年の叡智によるところであろうか。そうはいっても、もうしばらく餃子は見たくないぞ。

 

 

 

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2012年4月13日 (金)

餃子ライス万歳!

川崎駅を降りて競馬場に歩く途中、餃子で有名な『成喜』を訪れてみた。川崎で初めて餃子を出した店。先日の「川崎春の餃子祭り」の席上、餃子に命を燃やすカメラマンI氏からリサーチを厳命されていたのである。

Naruki1  

創業は昭和12年。当初は日本料理屋だったのが、メニューの中に試験的に餃子を加えたところ、これが爆発的にヒットしたというが、こうしたラディカリズムこそが暖簾を守る秘訣だろうか。ともあれ焼き餃子に水餃子、そしてライスを注文。

Naruki3  

この店でのポイントは餃子に合わせるこちらのタレにある。

Naruki2 

川崎市民でも知る人は少ないであろう。町おこし的な発想から作られた一品で、認知度はほぼゼロに近い。通は「タレ7、酢2、ラー油1」の配分で合わせるとか。濃厚そうに見えて、意外にアッサリしているので、数を食べる時には重宝しそうだ。ただし、ライスに合わせるなら、やはりラー油&醤油には敵わぬ気がする。

ところで、餃子の本場・中国では、餃子ライスという食べ方は存在しない。そも中国で餃子といえば水餃子であり、それ自体が麺類や白飯、あるいはパンと同じ主食である。したがって餃子ライスというスタイルは、我々の感覚で言えば、お好み焼き定食とか炒飯サンドイッチみたいなもの。前者はアリかもしれないが、とにかく彼の国では餃子はおかずにならんのである。

では、日本ではなぜ、餃子をおかずにするのであろうか?

日本に餃子が広まったきっかけは、戦後中国大陸からの引揚者がその調理法を伝えたことによる。ただ、水餃子は、戦時食“すいとん”に酷似していて、最初は不評だった。そこで焼くことで食感を変えてみたのでは?   というのがひとつの説。世は食糧難の時代である。油で炒めることは、摂取カロリーを高めることにもなるし、ニンニクを入れたのも栄養的な観点によるものであろう。ともあれ、終戦後の日本で餃子は独自の進化を遂げ、庶民のおかずとして定着した。

Tenryu  

私の中での餃子ライスの聖地といえば、銀座『天龍』をおいてほかにない。ご覧の写真は、先週訪れた時のもの。テーブルの上にズラリとならんだ48本の餃子を、これからひとりで食べるのである   というのはもちろん嘘で、4人で食べるところです。ま、それにしても多いのだけど(笑)

『天龍』の餃子1.5人前(12本)の重量は約1キロにも及ぶ。これにどんぶり飯を合わせるなど、保健師さんからすれば言語道断であろう。こればかりは餃子に免じてお許し願いたい。

ところで『天龍』に行くと、この餃子ライスセットを注文しておきながら、食べ切れずにギブアップする手合いの客を目にするが、これはいただけない。大盛りを頼んでおきながら食べ切れずに残すなどというのは、馬に注文を付けて敢えて最後方追走を選んでおきながら、あからさまに脚を余して負けた騎手並みの愚行。言い訳のできるものではない。

 

 

 

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2012年4月10日 (火)

ステーキを食べよう

テキサスレンジャーズのダルビッシュ投手がマリナーズ戦に先発。6回途中5失点降板という不本意な内容ながら、メジャーのデビュー戦で勝利を掴み取った。

えー、たしかこのブログでは野球の話は原則書かないと決めていたはずなので(笑)、投球内容云々とかイチローのバッティングがどうしたとかは、この際さておく。ここで私が話題にしたいのは、彼が初めてテキサスを訪れて球団社長と会食した際、大量のオニオンリングに約500gのロブスター、そして約730gのステーキを平らげたと伝えられていることだ。かつての剛速球投手ノーラン・ライアン社長はいたく驚いたという。そりゃそうだ。私だって驚く。あの細身の体のどこに、それだけの肉が収まるのだろうか? つまり、羨ましいのである。

「硬い」とか「味がしない」と散々に言われるアメリカン・ビーフだが、ステーキにするのであればこの肉がベストだと個人的には思っている。キッパリと決別した脂身と赤身。確固たる噛み応え。「今オレは肉を食ってる!」という気にさせてくれる料理といえば、アメリカン・ビーフをフライパンでしっかりとウェルダンに焼き、ひとかけらのバターを乗せただけのシンプル極まりないアメリカン・ステーキをおいてほかにないのではないか。

Steak  

むろん「和牛」が世界に誇る食用肉であることに疑いの余地はない。だが、すき焼きに代表される醤油味の料理にマッチするよう改良され、なおかつ何でもかんでも「柔らかければ美味しい」という意味不明な国民的味覚性に触発された結果、箸でも切れるほど柔らかい肉質が実現した。それを焼くにしてもレアに留め、ワサビを添えて食べるというのは、刺身文化以外の何ものでもあるまい。むろん、これはこれでもちろん美味いのだが、過分に脂による旨味が勝っており、肉そのものの味が溢れ出るという感覚は味わえないような気がする。

だいたいが国産和牛のステーキなど、なかなか口にできるものではないのである。肉屋の冷蔵ケースを前にして、競馬のあがりの3/4が畜産振興に使われているとは俄かに信じ難い。かつては毎年数千億円が、売り上げ低迷の今でも数十億円の補助金が、牛のために使われてきた。それでも牛肉の値段は世界最高値。これではハズレ馬券も浮かばれない。アメリカン・ビーフを褒めるのは、馬券の当たらぬ競馬ファンとしての精一杯の皮肉でもある。

ダルビッシュ投手は、毎度の食事にも細かい配慮をすることで知られるが、中でもステーキが好きなようで、ブログやツイッターには「ロイホの国産牛ステーキ」とか「ステーキ320g」などという書き込みが頻繁に登場する。レンジャーズの本拠地テキサスは、全米でも屈指の肉牛の産地。よもやそれが入団の決定打になったはずもないだろうが、これからは本場のアメリカン・ステーキをぞんぶんに味わうことができるであろう。ああ……、やっぱり羨ましい。

 

 

 

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