魅惑のちらし寿司
先週、たまたま3日続けて「ちらし寿司」をお昼に食べた。高津の『寿し長』、神楽坂の『二葉』、大手町の『今よし』の3軒。2日連続というならありそうなモンだが、3日というのは我ながら珍しい。「人はなぜちらし寿司に魅了されるのか?」などという原稿依頼が来たわけでもなく、単なる偶然の成り行きによる。
それはそうとして、ちらし寿司は大好物である。
「握り」といえば全国どこで食べてもだいたい同じスタイルであるのに対し、「バラちらし」「吹き寄せちらし」「よろずちらし」など全国各地、あるいは個々の店によって種々様々なバリエーションが存在するちらし寿司は、ある意味で寿司店のアイデンティティーのひとつであるに違いない。
「”ちらし”は”握り”より格下」と蔑み、あたかもダートグレードレースにおける地方馬の如くハナから相手にしないという態度を取る人も中にはいるが、ちらしは“シャリを食わせる”と言われるだけあって、ちゃんとした店なら特別仕様のシャリを作るし、ネタの味がシャリに広く深く浸透するよう、ネタにも工夫を凝らしたひと手間をかけるものである。ちらし寿司に代わって強調しておくが、決して“格下”などではない。
ところで、先週の“連続ちらし”の端緒となった高津『寿し長』にて、大将から「近海本マグロが大漁で、ものすごく安くなっている」という話を聞かされた。
マグロといえば、近年資源の枯渇が指摘され、全世界規模での漁獲取引制限が課されるようになったばかりか、折からの原油価格高騰の煽りを受け、遠洋マグロ漁は休漁の憂き目を見ている。今やすっかり“高級魚”である。そんな最中に、日本国民羨望の的とも言うべき本マグロが安くなっているとはいかなる事態か?
しかもそれは、カチカチに凍り付いた薄っぺらい味わいの冷凍マグロなんぞではない。正真正銘、近海産の生マグロだ。
翌日の『二葉』、さらにその翌日の『今よし』でそれぞれ同じことを尋ねれば、即座に同じ答えが帰ってくる。なんでも、中国四川の大地震の直後から、日本近海では記録的なマグロの豊漁が続いているのだという。
中国内陸部の地震とマグロの動向に科学的なリンケージがあるのかどうかまでは分かりかねるが、築地の価格変動が、現時点で我ら庶民の食卓に恩恵を及ぼしているのかどうか? 至急調査すべしと、調査員を現場に緊急派遣した。いや、つまりは、奥さんが近所の魚屋に買い物に行っただけのハナシなんだけど…。
で、結果を書くと、本当に安くなっていた。
普段なら1サク3千円は下らないであろうナマの中トロ本マグロが、驚く無かれ半額の1500円である。あまりの安さに「豊漁云々と関係ナシに、売れ残りの叩き売りじゃねぇの?」なんて思ったけど、どうやらそんなことはない様子。かくして、3日間ちらし寿司が続いた翌日、すなわち昨日の日曜は、大量のマグロを囲んで「手巻寿司大会」と相成ったのである。
ちらし寿司に話を戻す。新潟には美味しいちらし寿司を出す店は沢山あるけれど、『宮鮨本店』のちらし寿司は圧巻。あたかも大部屋にくまなく敷き詰められた布団の如く、整然と、しかも隙間なくネタが敷き詰められている。真っ先に目を奪われるのは新潟ならではの豪華な海の幸。だが、ここのちらしは実はシャリが絶品。コメどころ新潟の底力ですね。新潟競馬開催中には競馬関係者も訪れるほどだから、興味のある方は行ってみると良い。ただし、7日、17日、第4日曜日が定休日という変則スタイルなのでご注意を。








完成。鍋のあとのチャンポン麺とチャンポン用スープも入っているのでご安心を。


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