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2012年2月 1日 (水)

女傑と名門牧場

日本のクラシックレースを4走した記録を持つ馬は、スウヰイスーやミスオンワードなど5頭いる。もちろんすべて牝馬。なかでも盛り上がったのは、無敗の牝馬2冠馬ミスオンワードがダービーと菊花賞に出走した、1957年のクラシックだろう。

前年の2歳牝馬チャンピオンのミスオンワードは、桜花賞とオークスの2冠を制して通算成績を8戦全勝とすると、その勢いのまま翌週のダービーに駒を進めた。近年で言えば、ブエナビスタがオークスを勝った翌週にダービーに出てきたと思っていただければ、その盛り上がりぶりが想像できるだろう。サドラーズウェルズやヌレイエフの近親という良血の持ち込み馬という血統的背景も後押しして、連闘になるにも関わらずダービーでは3番人気に推されるが、結局はヒカルメイジの17着と惨敗してしまう。

それからちょうど半世紀後の2007年。ミスオンワードと同じく2歳牝馬チャンピオンとなったウオッカは、桜花賞では2着に敗れたものの、オークスではなくダービーに的を絞って同世代の牡馬に挑む道を選ぶ。ミスオンワードと同じく3番人気に支持されると、のちの菊花賞馬アサクサキングス以下を相手にせず、戦後初めてとなる牝馬のダービー馬に輝いた。

Vodka1  

先週末から今週にかけて、日高の牧場の売却話が相次いだ。オンワード牧場とカントリー牧場。いずれも、オーナーブリーダーとして日本の競馬界にその名を刻んできた名門である。

オンワード牧場はミスオンワードとオンワードゼアが活躍したのを機に、衣料メーカー「オンワード樫山」創業者の故・樫山純三氏が1960年に開場した牧場だが、ここへきて後継者がいないことを理由に売却を決意したそうだ。所有する繁殖馬と育成馬は既に他の牧場に売却済みで、牧場自体も2月末に別の牧場へ売り渡す予定だという。写真は2002年の東京ハイジャンプを勝ったオンワードメテオ。その4代母がミスオンワードだ。

Onward_2 

一方のカントリー牧場は1963年の創業。タニノハローモア、タニノムーティエ、タニノギムレット、そしてウオッカでダービーを勝ち、一昨年の菊花賞もビッグウィークで勝った。比較的コンスタントに活躍馬を送り出しているようにも思えたのだが、既に売却先として岡田スタッドの名前が挙がっているという。

2008年秋の天皇賞では、大激戦の末にウオッカがダイワスカーレットをハナ差で退けて優勝した。

Vodka2_2   

牝馬の天皇賞制覇は、ヘヴンリーロマンスやエアグルーヴなど近年にもいくつか記録が残る。だが、天皇賞での牝馬のワンツーフィニッシュとなると、1958年のセルローズ&ミスオンワード以来のこと。これまた50年ぶりの出来事だった。

半世紀もの年月を隔てて似通った活躍ぶりを見せた2頭の女傑。オーナーブリーダーという形態の維持が難しい時代であることは承知しているし、それゆえに牧場売却の話にも驚くことはなくなった昨今だが、ミスオンワードとウオッカのゆかりの牧場が揃って消えると聞けば、やはりそれなりの衝撃を覚えるもの。時代の転換点だと割り切るのは容易いが、3冠馬の誕生だとか海外遠征での勝利といった華やかな話題ばかりに気を取られ、浮かれている場合ではないのかもしれない。

 

 

 

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コメント

いつも楽しく拝読させています!

マッケン農場も売却ですよ!しかも、馬1頭分の価格ぐらいです。

投稿: へいや | 2012年2月 3日 (金) 14時57分

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