たかがネクタイ。されど…
服装の話の続き。
知られているようにJRA競馬場の馬主エリアにはドレスコードがある。かつてどんな重要な会合の席であってもネクタイの着用を嫌って話題となったホリエモン氏も、競馬場にはきちっとネクタイを締めて来ていた。
馬主本人は重々承知しているドレスコードも、馬主の同行客がそれと知らずにノータイで競馬場にやってきてしまうことはいかにもありそうな話である。そのような場合に備えて、競馬場の馬主受付カウンターには「貸しネクタイ」が用意されている。これならノータイで来場してしまったアナタもひと安心だ。ただ、「ドレスコード」というものはネクタイの有無だけを指し示すわけではないのは周知の通り。ややもすると、ジーンズ+ポロシャツ+ネクタイなんつー奇妙な服装の紳士が馬主エリアを席巻してしまうこともある。夏の新潟なんか凄いコトになってますよ。
2年ほど前からGⅠレースに限り出走馬の厩務員は全員ネクタイを締めて馬を引いていることをご存じだろうか。馬主会が調教師会に要望して実現したものである。これまでも自主的にスーツ、ネクタイ着用で臨む厩舎はあったが、それが全厩舎に徹底されたわけだ。馬主や調教師だけでなく厩務員も着飾るようになったことで、パドックの風景も昔とはずいぶん変わった。10年ほど前のダービーのパドックは作業着姿の厩務員が圧倒的多数であったはずである。
「たかがネクタイひとつでなにを大袈裟な…」と思う向きもあろうが、そもネクタイの起源そのものが競馬場にあると聞けばどうだろうか?
ネクタイの起源には諸説あるが、ローマ帝国時代に領地を守るため出征する兵士たちに、妻や恋人らが首に巻く布を「愛の印」としてささげたのが始まりと言われているが、現在のネクタイとはスタイルも大きく異なっていたとされる。
現在の結び下げのネクタイは別名”ダービータイ”とも呼ばれ、1870年頃にイギリスで生まれた。競馬場に集まるジェントルマンたちの間で細型の結び下げ式のネクタイが流行したことがルーツとされる。競馬場で生まれた習慣が、時を経て全世界の社会生活一般にまで広く浸透したのだと思えば、競馬に携わるひとりとして「たかがネクタイ」と軽んずるわけにもいくまい。少なくとも競馬場に行くときくらいはネクタイ着用を心がけることにしようか。まあ「絶対に」とまでは言い切れないのだけど…。
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