収益保証率0.25%の攻防
東京競馬場でオークスが行われた25日、水沢競馬場において岩手競馬の民間委託を検討する県競馬組合の委員会が開かれ、委託候補として大手情報通信会社の「日本ユニシス」を選定した。組合は今後、同社と条件面での協議を進め、10月をめどにホントに委託するかどうかを決定する方針だという。
ユニシス社の提案は、競馬法の規定で民間委託できない競走の実施や議会対応を除く全ての業務を包括的に受託するもので、委託期間は2009年度からの5年間とされている。
案では、水沢競馬場を「自場重視型」、盛岡競馬場を「広域委託重視型」と位置づけ、水沢は土日開催、盛岡は平日開催とする。複数レースの勝ち馬を予想するtotoのような「重勝式」の販売方法や一般席の増設、ミニ場外馬券場のショッピングセンター付近への新設などが盛り込まれているが、既に他地区・他業種で導入済みの内容であり、特別な目新しさは感じない。敢えて探せば「新たな手法を用いたインターネット販売」という提案があったらしいが、その詳細は明らかにされていないのでなんとも言えない。
一方、経費の大幅カットや職員の削減、さらに稼働率の低い馬券販売所の閉鎖といったリストラも粛々と行うとしている。
収支計画では、来年度(2009年4~2010年3月)の事業収入を200億円と見積もり、5年後の2014年度には283億円にまで増加すると見込んでいる。
提案では「収益保証率」を0.25%に設定している。例えば、283億円を売上げた場合、その0.25%に相当する7100万円が県競馬組合の利益となる計算だ。
一方、県競馬組合は昨年3月、構成団体の県と奥州市、盛岡市から計330億円の融資を受け、巨額の負債を整理したことは、既にこのブログでも幾度と無く紹介してきた。それに関して、組合と構成3団体との間には「利益が1億円を超えた場合、超えた分の半額を元本返済に回す」という取り決めがある。1億に満たない利益は、設備改修費など競馬存続費用に充てなければならないからだ。収益保証率が0.25%であるから、組合の利益が1億円を超えるには年間400億円以上の売り上げが必要。ところが日本ユニシスの見込みでは売り上げは最大でも283億。借金返済の実現性とは100億以上の乖離が存在する。
達増岩手県知事も「提案では決して元本返済はできない。返済できるようにするのが民意だ」と述べて懸念を示した。
これに対し日本ユニシスは、「協議を通じて必要な見直しを図る」として、今後の協議に含みを持たせているが、収益保証率の引き上げは日本ユニシスの負担を増やすだけであり、協議が物別れに終わる危険性がある。逆に、借金返済ルールを変えて「1億に満たなくても元本返済に回す」という取り決めたとしても、誰かが設備改修費を負担しなければならないことには変わりない。
さらに、日本ユニシスの提案には、もうひとつの大きな難題が含まれている。
(明日付に続く)
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