« 2008年4月 | トップページ | 2008年6月 »

2008年5月31日 (土)

全日本ジュニア総合馬術大会

昨日から降りやまぬ雨をついて馬事公苑へ。近隣の保育園児も関心を寄せる『全日本ジュニア総合馬術大会』でござる。

Baba_2

1年間に渡る「競馬とは無縁の仕事」のおかげで毎週のJRA詣でをおろそかにしてしまった私は、この度ついにJRA様から“お暇”を頂戴してしまった。急遽土日にやることがなくなってしまった馬専門カメラマンにとって、こうした馬術イベントはまさに救いの神である。昨年あたりから馬術に興味がシフトしつつあるので、JRAに行く必要がなくなってむしろ「よかった」と思わないでもない。(負け惜しみ)

大会は昨日から始まっており、「馬場」「障害飛越」「クロスカントリー」の3種目を3日間で競う。もちろん私の知人とマルベリーも参加。ホーストライアルと違って、競技者の服装もキマっているのだが、それゆえこの天候が恨めしい。ご覧の通り水の浮く“不良馬場”。マルベリーはシンボリルドルフの産駒だから道悪はこなすだろうけど、関係ないか……。

Maru1

普段、我々が競馬場で撮る馬の姿というのは、パドックを常脚で歩いている姿か、あるいは極限の力を振り絞ってフルギャロップを繰り出している姿。そのどちらかが圧倒的に多い。馬券を買う立場であってもそれは同じことだろう。しかし、馬術競技ではそれがキャンターとなる。

ご存じの通り、馬の走り方(歩き方)すなわち歩法には

 ・常歩(なみあし)ウォーク
 ・速歩(はやあし)トロット
 ・駆歩(かけあし)キャンター
 ・襲歩(しゅうほ)ギャロップ

の4種類がある。これまで私はこれら4種の歩法を「馬が生まれながらにして身につけている能力」と認識していた。たしかかなり昔の読売新聞の記事に、そのような一文を見つけて「そうか。生まれつきの能力であるのか」とピュアな心に刻まれたのだと記憶している。

Maru2

だが、知人から「キャンターだけは人間が調教によって馬に教え込ませる歩法だ」と聞かされていたく驚いた。

私は日高の生産牧場にも長く通っているが、言われて見れば当歳や1歳の若駒が放牧地でキャンターを繰り出している姿を見たことがない。追いかけっこをするにも、何かに驚いて逃げるにも、とにかく走る時はひたすらギャロップである。以下は勝手な推測だが、「逃げ足が速い」というただひとつの特性だけを武器に進化を遂げてきたこの動物に、そもそもキャンターなどという半端な歩法は無用なのかもしれない。

Maru3

今日のマルベリーは飛越が順調。やはり道悪で本領発揮か。明日のクロカンも期待できそうだ。

なお、明日(6/1)はそのクロカン競技実施のため、馬事公苑走路内のあらゆる施設の立ち入りができなくなります。公園やパドックには入れませんのでご注意を!

| | コメント (0)

2008年5月30日 (金)

『野平会』は永久に不滅です

ダービー前々日恒例、吉祥寺での『野平会』でござる。なぜ吉祥寺でなければならないのかについては長くなるので割愛。

酒席はポーカーアリスの話題でスタート。『野平会』のメンバーのひとりは、ポーカーアリスの共同所有者である。

帰厩まで思いのほか時間がかかったり、JRAではなく地元戦を使うことになったりと、当初の思惑通りでない部分もあるのだけれど、まずは無事にここまで辿り着いた事実を評価したい。そもそも放牧に出せばすべての問題が解決するわけではないし、馬が突然強くなったりするわけでもない。むしろ深い泥沼から抜け出せなくなることだって珍しくはない。すべて馬のことである以上、確たるものなどないとわきまえなければならない。だが、ポーカーアリスはそれをクリアして  少なくとも今のところは  「休ませて正解だった」と多くの関係者が口を揃える。ありがたいことである。

ポーカーアリスとは社台ファームの“同期”で、同じ父を持ち、同じように旭川の認定を勝って南関東に移籍してきた一頭の馬がいる。

同じ牝馬で、獲得賞金額もさほど変わらない。疲労が溜まって1月に放牧に出たのも一緒なら、放牧先までポーカーアリスと同じ牧場だった。

その牝馬。いまだ馬体が回復せず、帰厩のメドが立たない状態だという。

そういうケースは決して珍しくない。我々はどうしても一流馬のそれを基準にモノを考える癖がついてしまっている。すなわち、たいていの競走馬は理想のローテーション通りにレースに出走できるものであり、調教でそれなりに追えば11秒台を出せるものであり、放牧に出せば予定通りの期間でちゃんと馬体を回復させて帰ってくるものである、と。

これはシュミレーションゲームの世界観に過ぎない。パラメーターとそれに基づくマトリックス、そしてちょっとした乱数。予定調和を求めるならば、シュミレーションゲームをやれば済む。不測の出来事とその先に潜むリアルなリスクこそがゲームをより面白くするのだ。

酒席の話題は生前の野平祐二氏の思い出話へと移る。

今宵参加者の口から飛び出した野平氏にまつわるエピソードを、いちいちここに紹介するには紙幅があまりに足りない。話は尽きることなく、気がつけば深夜零時近く。ここが吉祥寺だと思い出して慌ただしく引き上げの準備に取り掛かるが、今夜は何年ぶりかに「会」の主たるメンバー全員が顔を揃えるという貴重な夜となった。『野平会』は年に3回、日本ダービー、ジャパンカップ、有馬記念の折に開かれているけど、そういやこうして5人が顔を揃えるのは久しぶり。なかなか競馬場にも行けないしね。私もこの先どうなるのか分からん。

んで、とりあえず写真。

Nohirakai

次の『野平会』は11月。その頃にはポーカーアリスのJRA特別勝ちの祝勝会を兼ねるくらいの活躍を期待したいところであるが、果たして……?

| | コメント (0)

2008年5月29日 (木)

浦和で死ぬのは嫌だ!

昨日の続き。浦和に話を戻す。

薄暮開催は、昨今のライフスタイルを鑑みて第1レースの発走時刻を遅らせることで、一人あたりの参加レース数を増やすことを目的としており、JRAでは夏のローカル開催でまずまずの効果を挙げている。

ただ、JRAのファンと地方競馬を支えるファンとの間には、容易には埋められないギャップが横たわる。JRAで成功したからと言って、それがそのまま浦和で結果を出せるとは限らない。

私が見る限り、浦和の大方のファンは“薄暮”部分を無視しているように思う。薄暮開催中の特別競走発走時刻は、概ね17時10分、17時45分、18時20分といったところ。ところが、その特別競走に入る前の16時35分のレースが終わったところで帰途につく客が思いのほか多いのだ。実はこの時間帯は、通常開催における最終レースの発走時刻に近い。

永年浦和に通いつめたベテランのファンには、競馬場で過ごす時間的規則が、自然と身に染みているのかもしれない。そういうファンにとっては、主催者が何と言おうと競馬は16時35分に終わるものであり、17時からは駅前の赤ちょうちんで一杯引っかけて、18時か19時にはさっさと家に帰るものなのだろう。でなければ、平日開催の競馬に永く付き合うことなどできないのではないか。

仮にそうだとしたら、主催者側の目論見は危うくなってくる。もっとも売り上げを見込めるメイン競走の前に帰宅する客が多いようでは、一人あたりの馬券購入額が下がるのも頷けよう。

Urawa01さらに追い打ちをかけるのが、施設の老朽化だ。これは他のブログでも話題に上がっているが、浦和1号スタンドは「安全上の問題」を理由に一般客の立ち入りが禁止されている。

Urawa02

コンクリート制の階段には亀裂が入り、屋根の一部が崩落している現状からすればスタンド内部だけでなく、建物の周囲50mも立ち入り禁止にしなければならないのでは?と真剣に心配してしまうのだが、いずれにせよ立入制限の煽りを受ける形で2号、3号スタンドの混雑が顕著になっている。

Urawa03_2

浦和に集うファンとはいえ、そこに長居するには「快適性」が確保されなければならない。ゴール正面のスタンドを立ち入り禁止にされ、挙げ句に残された狭いエリアにスシ詰めにされる。いくら浦和競馬場に馴れ親しんだファンとて、引き揚げたくなるのも頷ける。

Urawa04

薄暮開催はまだ良いとして、1号スタンドの方はどういう着地点を思い描いているのだろう。一般客を締め出してはいるが、決勝審判員や場内実況アナウンサーは今にも崩れ落ちそうなブースに残って業務をこなしているし、我々カメラマンもこの建物の中を通らなければ仕事にならない。

Urawa05

立ち入り禁止の措置がとられてからはや3ヶ月。取り壊すなり、補強を施すなり、早く手を打って欲しい。浦和で死ぬなんて絶対嫌だ!

| | コメント (0)

2008年5月28日 (水)

「競馬をする」スタイルの変貌

1番人気の逃げ馬の出遅れには唖然とさせられたが、旧表記なら「10歳馬」のリミットレスビットの勝利という事実にも唖然。そんな「さきたま杯」が行われた浦和競馬場は、前開催から“薄暮開催”に入っている。

Yosoya

 

本来ならヨーロッパのように高緯度かつサマータイム導入により夜9時過ぎてもまだ陽の暮れない様子を指すのが「薄暮」だが、スタンドが東を向いて建てられている浦和の場合、メインレースの頃には薄暮には程遠い暗がりの中で競馬を見なくてはならず、夏の風情というよりは殺伐感でいっぱいになってしまう。しかしそれでも入場者数の比較では「薄暮開催の効果はある」というから、ファンには受け入れられているのだろう。

一方で、肝心の馬券売上の方は入場者数ほどの恩恵がないようだ。一人あたりの購入額の落ち込みは浦和のみならず、他の地方競馬や、JRAをも悩ます業界の構造的問題だが、これを「可処分所得低下に伴う買い控え」という仮説でまとめてしまっては身もフタもない。もちろん可処分所得云々も一因には違いないのだろうが、私はひとり当たりの参加レース数の減少が主因だと考えている。

競馬観戦のスタイルは様々あろうが、少なくとも10数年前までは、馬券というものは競馬場か場外馬券売場で買うものであり、「競馬をする」と言えば、たいていこのどちらかの施設に行くことを指した。

わざわざ出掛けていくとなれば、目当てのレース以外にも当然目がいく。めでたく的中して、払い戻しを受ければ、それを資金にもうひと勝負という輩はひとりやふたりに留まらないだろう。

「1日の馬券購入金額10万円」といったところで、実際に家を出た時に財布に入っていた10万円をすべて使い切ったとは限らない。馬券が的中し、払い戻しを受ければ、その払戻金は新たな軍資金とって次のレースの馬券購入に充てられる。勝ったり負けたりを繰り返しながら馬券を買い続けることにより、結果として「購入金額」は水増しされる。

しかしネットあるいはケータイからの購入のシェア拡大に伴い、「日中のほとんどを馬券買って過ごす」という競馬スタイルは減少の一途を辿っている。別の“何か”をしながら馬券は決めたレースのみを携帯から購入。レース結果もあとから知ればよいという完全オフトラック派が増えているのだ。言ってみればゲームの延長。感覚的には株式のオンライントレードに似ている。

その背景には3連単に代表されるような「一発でその日の勝敗を決する馬券」の出現がある。

一日1レース限り。高額配当に狙いを定めて、数百通りの3連単馬券を購入するファンが増えているのだ。一日分の資金をその1レースにすべて投入するからハズれればアッサリと帰るが、万一的中すれば高額払戻窓口に出向くこともあるわけで、いずれにせよそこで打ち止めとなる公算が高い。

JRAが午前のレースで3連単を発売しないのは実はこうした現象を少しでも避けたいためで、売り上げ低迷時の「新馬券」導入の際、まず真っ先に拡大馬番連勝複式(通称「ワイド」)の導入に走ったのも、そうした思惑によるものである。要は一人あたりの参加レース数を増やしたいわけだ。

(明日付に続く)

| | コメント (0)

2008年5月27日 (火)

ポーカーアリス復帰へ

ポーカーアリスの共同所有者からメールを頂く。昨日付で書いたJRAの審判制度についての興味深いご意見。もちろんポーカーアリスについても触れられており、レース選択には細心の注意を払う必要がある旨が綴ってあった。

Babo同感である。ポーカーアリスの2歳秋~3歳春シーズンをひと言で書き表わそうとすると、「消化不良」、「不完全燃焼」、「ちぐはぐ」といったネガティブな言葉しか浮かんで来ない。何より馬に申し訳ないと思う。JRAへの遠征を目標に入れながらローテーションを考えているうち、JRA側の条件が我々の手足を縛ってしまった感がある。その結果、JRA遠征そのものさえ実現しなかった。完全なる失敗。馬のためにも同じ過ちを繰り返すわけにはいかぬ。

幸い、休養明けの調教は順調に進んでいる。休養期間が6ヶ月を2週間ほどオーバーしてしまったので、今朝は調教試験を受けた。レースは2頭立て。好スタートを決めると、前を行くグローリーミリオン(牡3)の外に馬体を合わせて追走する格好。直線に入っても鞍上の手綱は動くことはなく、内で一杯に追われるグローリーミリオンをクビだけ交わしてフィニッシュ。5ハで1分2秒1は調教試験としては出色の時計。レースとさほど変わりない。

試験に乗ってくれた実川騎手は「手綱を緩めたら飛んでいきそうなほど。素晴らしい馬ですね」とコメントしてくれた。そういえば以前、調教に乗ってくれた庄司騎手も「こんな凄い背中をした馬に乗ったのは初めて」と褒めてくれたことがある。

ありがたい。本当にありがたい。ありがたいのだが、そんな馬が未だ地方2勝に甘んじている事実が逆に悲しく、悔しく、馬に申し訳なくてならない。

順調なら次の船橋開催を走る予定だが、問題はそのあと。例によって「JRAの芝戦」という話が出てくるだろうが、東京開催も既に終わりに近づき、あとに控える福島は苦手の右回りに加え芝1600mというコース設定がそもそも存在しない。

ならば新潟かと思いきや、あれほどのコースバリエーションを誇る新潟にもかかわらず、芝1600mの500万条件特別指定競走となると、2ヶ月にも及ぶ夏の新潟開催(2・3回新潟開催)を通じて8/31日に行われる古町特別ただひとつ。1400mにまで条件を広げても9月に1鞍あるだけとなれば、しばらくは地元戦を使わざるを得なくなるかもしれない。ただ、夏場の船橋の開催日程は変則もいいトコで、7月と8月はそれぞれ3日間ずつ、2ヶ月で計6日間しか開催されない。

たとえ「素晴らしい馬」であっても、たとえ「凄い背中をした馬」であっても、馬に適したレース条件でなければ能力を発揮するどころか、逆に能力の一部分を削がれてしまい、二度と戻らなくなってしまうことだってあり得る。メールの指摘通り、レース選択には神経を使う夏になるかもしれない。

| | コメント (1)

2008年5月26日 (月)

内輪の興行と公正確保

オークスの出走馬18頭が直線の坂に差し掛かる。3歳牝馬の頂点を目指す最後の攻防をカメラが映した時、馬群の中ほどを真一文字に斜めに切り裂こうとしている橙帽の一頭が目に留まった。

例によって馬券は買っていなかったが、かといって、もし私が前を行くレッドアゲートやブラックエンブレムの馬券を握り締めていたとしても、あれほどあからさまに斜行している人馬がいれば気を取られる。私は自宅のTVで家族とオークスを観ていたわけだが、「ほら。ずいぶんと好き勝手に走ってる馬がいるよ」と家族に教え、「ああ、ホントだ」と妻が返事を返してもまだその馬は内ラチを目指して斜めに走り続け、結局は先頭でゴールを駆け抜けた。

TV番組のMCを務める男女は、審議の表示が点灯していることも忘れてハシャギまくっていたが、隣に座る細江純子さんの顔色を見れば、その馬が審議対象となっていることは明白で、しかも重大な結末が訪れる可能性が高いことを暗示していた。

Ashi 

審議ではパトロールフィルムの精査と当事者の意見聴取が行われるが、その先にはふたつの視点からなる“採決”が待ち受けている。つまりそれは、「着順変更の要否」と「騎手への制裁の要否」。逆に言えばこのふたつの事案は独立して扱われている。降着になれば騎乗停止になるとは限らないし、その逆もまた然り。

昨年10月30日付「【五十嵐冬樹騎手を巡って①】降着なき騎乗停止処分」では、こうしたケースを「珍しい」と書いたが、とはいえ決して「皆無」なのではない。五十嵐冬樹騎手だけでなくケント・デザーモ騎手も同様の制裁を受けたことがあるし、かつてはミスターシービーが勝ったダービーの直後、ダービージョッキーになったばかりの吉永騎手が騎乗停止処分を言い渡されたこともある。むろん、馬の方は降着になることはなかった。

騎乗停止や過怠金など騎手に対する「制裁」は”加害行為”を咎める措置であり、「降着」の有無はあくまで”被害結果”の分析に基づいて判断され、このふたつの裁定の間にはそれなりの距離が置かれる。しかし、実際のさじ加減は難しく、JRA関係者ですら「厳密な運用は難しい」とこぼす。身内がそんなザマだから、厩舎関係者や記者たちはもちろん、馬券を買うファンに理解できぬヒトがいたとしても無理はない。

「理解できない」のは、良くも悪くも日本の競馬が「内輪の興行」だからだ。

昨日のレースでは4頭が”被害”を受ている。直線坂下付近。行き場所をなくした勝ち馬は、馬場の中央(やや外寄り)から内側へ進路を取りはじめ、レジネッタ、ソーマジックを押圧。そのあおりでレジネッタとソーマジックの直後につけていたオディールも控えざるを得なかった。それでもさらに斜行は続き、ラチ沿いを伸びていたマイネレーツェルも不利を受けている。

だが意外にも、レース後に不満の態度を露わにする騎手はほとんどいなかったと聞く。自分が勝つチャンスを阻まれたのだし、何より自らの命が危険にさらされたのは間違いようのない事実。だが、相手は普段から一緒に乗っている仲間。調教師はリーディングの常連。しかも馬主は天下のノーザンファーム関連クラブ。騎手たちが「空気を読んだ」と考えても特に不思議はない。

だが相手が「内輪」以外となれば容赦はない。

昨年の秋の天皇賞が終わった直後、複数のジョッキーが道営・五十嵐冬樹騎手に辛辣な言葉を投げ、中には「もう(JRAで)乗せるな!」と声を荒げる騎手もいたことは以前にも書いた。昨今は相撲でも同じことが指摘されているが、「内輪の興行」に公正確保を期待する方が、実は間違っているのかもしれない。

| | コメント (0)

2008年5月25日 (日)

たかが調験、されど調験

せっかくなので調教試験のハナシを続ける。

昨年9月14日付「調教試験が煩わしい」では、この調教試験という制度そのものに対してネガティブな意見を書き連ねているが、そもそも試験自体は必要があって行われていることを強調しておきたい。昨日付にも書いたようにスクーリングの要素もあれば、メディアへの情報提供の場としても重要な役割を担う。ただ、個々の馬の能力そのものを測らざるを得ない地方競馬の事情というものが、やはり多くの部分を占める。

Shiken 

かつての地方競馬には、それこそ海のものとも山のものとも分からぬような馬が出入りしていた。ダイヤモンドである可能性も秘めている一方で、ただの石ころであることの確率が圧倒的に高い。でも、せめて「普通の石ころ」であって欲しいと主催者は願う。石ころ以下、すなわち1400mをせめて1分40秒で走れないような馬は、番組編成上、邪魔な存在でしかないからだ。ちなみに川崎1400mの場合、最下級条件戦でも1分31秒前後の決着になる。

だから「試験」を課す。

もちろん脚が速くてもゲートに入らなければ競走馬にはなれない。そういう致命的な問題が隠されていないかどうかもチェックする必要がある。これはスターターにとっても貴重な情報となるので、調教試験のゲートは、全馬がゲートインしてからすぐにゲートを開けることはせずしばらく間を置く。馬たちにはいちいち辛いことだろうとは思うが、これをクリアしなければ「競走馬」になれないのだから仕方ない。

Daku 

そう。試験に合格すると、それを見守っていた調教師や厩務員から「やった!これで競走馬になれた」という声を聞くのだ。たかが調験、されど調験である。

ところで、昨日付に掲載したシンボリエスケープに騎乗していたのは的場文男騎手です。大井からわざわざ乗りに来てたわけだ。大井と川崎は比較的近いので騎手の往来はさほど珍しいことではないが、いつもの勝負服でないと、やはりピンと来ませんよね。

Escape_2

 

 

Noken8例えば、この赤一色の服色を来ているのは、誰でしょう?

 

ココは川崎だから山崎誠騎手かな?と思うじゃないですか?

 

 

 

Noken9ところが大井の戸崎圭太騎手でした。

 

 

 

 

 

こちらの青一色の服を着ているのも地元川崎の酒井忍騎手…、ではなく佐藤博騎手です。

Satohiro 

調教とか能力調教試験の朝は「誰が何色の服をきているか?」のチェックから始まるわけだ。でも、たいていヘルメットかぶってゴーグルしているから、思うほど簡単な作業じゃないんですよ。

| | コメント (0)

2008年5月24日 (土)

能力調教試験のひとコマ

能力・調教試験は、単なる走破タイムトライアルではない。馬運車に揺られて競馬場に到着し、装鞍~馬体重検量~パドック~騎乗~本馬場入場~かえし馬~ゲート~レース~レース後の下馬~等々、通常のレースとまるで同じ手順を踏むことによってスクーリングを行うという側面も持ち合わせている。

Noken1まず無人のパドックを5分ほど周回する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騎手たちもリラックスムード。当然だがレースとは全然違う。

Noken2

 

本馬場入場。誰もいないスタンドの向こうを馬が駆けてゆく。

Noken3 

Cleaningいま「スタンドに誰もいない」と書いたが、実際にはお掃除の係の方々がせっせとイスを拭いていらっしゃる。まだ朝8時前ですよ。開門まで7時間ほどあるが、場内の清掃はこんな早くから始まっているわけだ。

 

ゲートが開いて1400mの調教試験がスタート。

Noken4 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Noken5 

基本的にはA1~C3の格付けに従って、ある程度能力的に同じグループごとに試験が行われるが、それでもJRAからオープン馬が編入してきたりすると、ご覧の通り大きな差ができてしまう。

  Noken6_2

 

ちなみにこの芦毛馬は父サクラバクシンオー、母スイートケンメアの7歳牡馬。そうです。昨年の京王杯SC(GⅡ)2着などJRAの重賞路線で活躍したシンボリエスケープです。

Noken7 

さすがにJRAオープン馬。格の違いは歴然である。順調なら来月11日の京成盃グランドマイラーズで”南関東デビュー”を迎える予定らしい。しかし、おそらく狙いは夏から秋。アフター5スター賞から東京盃あたりではなかろうか。

ともあれ、通常の能力調教試験では、こうしたサイクルが10分おきに繰り返される。間隔が詰まっているから騎手はたいへんだろうと思って聞いてみたが、それほどでもないそうだ。パドックで休む時間もあるし、普段の調教の方が慌ただしいとのこと。なるほどね。

| | コメント (0)

2008年5月23日 (金)

川崎2歳能験詳報

今朝行われた川崎競馬2歳能力試験の詳報。

21頭が出走予定だったが今朝になって2頭が取消。合計19頭が受験したのだが、めでたく全ての馬が合格した。着順ならびにゴール前写真は以下の通り。

【1R】

1r_21着 テラザトゥーレ(今野忠)51秒4
  チーフベアハート
  コスモハイクラス
  田邊陽厩舎(牝)440kg

終始外目を回りながらも、ゴール前で逃げるドリームマイウエイを余裕の脚で捉える。

2着 ドリームマイウエイ(山崎誠)51秒7
  カコイーシーズ スターオブブリッジ
  内田勝厩舎(牝)468kg

3着 ブループラス(戸崎圭)52秒1
  セイウンスカイ プラススキー
  足立勝厩舎(牡)445kg

4着 ワンダーアン(佐藤博)52秒4
  スキャン ロンドインディ
  田島寿厩舎(牝)396kg

5着 エスプリイーグル(山林堂)53秒1
  イーグルカフェ ビュウティセシル
  久保秀厩舎(牡)463kg

【2R】

2r1着 エスプリタップ(山林堂)51秒3
  タニノギムレット
  キョウエイタップ
  武井榮厩舎(牝)425kg

エ女王杯の勝ち馬にタニノギムレットという配合は、デビュー戦でも注目を集めることでしょう

2着 ラッキーネイチャ(佐藤博)51秒3
  シーロ アルル
  佐々吉厩舎(牝)416kg

3着 ヴィーヴァアモーレ(戸崎圭)51秒5
  マイネルラヴ ベルグポルカ
  池田孝厩舎(牡)469kg

[取消]ビバライジングサン
  ナリタトップロード キャニオンラダンス

[取消]サイレントヤマト
  レギュラーメンバー ラッキーオトメ

【3R】

3r1着 ツルノゴゼン(水野貴)52秒2
  アグネスゴールド
  コンバットローズ
  田島寿厩舎(牝)446kg

 

 

Namara2着 ナマラスゴイ(佐藤博)52秒7
  リンドシェーバー
  ヒメハヤブサ
  池田孝厩舎(牡)465kg

この馬が目当てだったわけです。「ササることもなく追いやすかった」とジョッキー。

 

3着 マウンテンピーク(山崎誠)52秒8
  サツカーボーイ トミケンブライト
  山崎尋厩舎(牡)408kg

4着 フリーランサー(町田直)52秒8
  ティンバーカントリー レインボーフライト
  秋山重厩舎(牡)495kg

Morning_a5着 コスモイッキュウ(山野勝)54秒0
  メイショウドトウ モーニングアフター
  河津裕厩舎(牡)459kg

ギリギリ合格でホッとしました。母モーニングアフターは野平祐二厩舎の所属馬。1996年のJC当日の未勝利戦を勝ったことを思い出しますな。

 

 

 

【4R】

4r1着 ヴァイタルクリーク(酒井忍)50秒2
  パラダイスクリーク
  グランジョワ
  武井榮厩舎(牡)439kg

評判のマルガイを相手にテンから2頭で飛ばし、ゴール前で競り勝つ。もうちょっと身体が欲しい気もするが、スピードは兄を彷彿させるものがある。

2着 ヴァルダマーナ(戸崎圭)50秒3
  Officer Certezza
  池田孝厩舎(牡)469kg

3着 オンリーダッシュ(町田直)51秒0
  ジェニュイン ゴールデンジョイ
  佐々吉厩舎(牝)437kg

4着 キタサンワンダー(山野勝)52秒7
  マイネルマックス キタサンヒメ
  村田六厩舎(牡)426kg

5着 ゲシールドラゴン(山崎誠)52秒8
  カコイーシーズ クリスマスアウィン
  山崎尋厩舎(牡)495kg

6着 フェイスレックレス(的場文)53秒0
  フサイチソニック スレーター
  高月賢厩舎(牡)472kg

 

せっかくなので、明日は3歳以上の能力・調教試験の模様を。

| | コメント (0)

川崎2歳能験速報

朝も早よから川崎にきております。目的は今回から始まる2歳馬の能験。中でも注目はヴァイタルクリーク(父パラダイスクリーク)と、ナマラスゴイ(父リンドシェーバー)の2頭。前者は、昨年の鎌倉記念とハイセイコー記念の勝ち馬ヴァイタルシーズの弟ということでメディアならびに厩舎関係者の注目を広く集めており、一方の後者はあのボンキュッボンのオーナーが、またもや面白可笑しい名前の馬を川崎に送り込んできたとあって私をはじめ数人の興味をそそっていた(笑)

とはいえ、私が今日来た第一の目的は、ナマラスゴイを撮るためですよ。ホントに“なまら凄い”のかどうか、この目で確かめたくなるじゃないですか。

詳細は夜の更新まで待っていただくとして、結果、ナマラスゴイもヴァイタルクリークも試験は合格。おめでとうございます。

特にヴァイタルクリークは一番時計50秒2を叩き出して余裕の合格。手元の時計で計ったところでは49秒8だったので、「おお!速い!」と思わず叫んでしまったのだが、正式時計とコンマ4秒ズレていた。恥ずかしい。でも、写真撮りながら時計取るのは難しいんですよ。

気になるヴァイタルクリークのデビュー戦については、ひと開催様子を見ることも選択肢にあるものの、現時点では次回の川崎開催(6/16~)でのデビューを予定。鞍上には先ほども手綱を取っていた酒井忍騎手を予定している。

詳しくは夜に。

| | コメント (0)

2008年5月22日 (木)

”サンタさん”の東京ダービー

木曜日といえばJRAの出走馬確定の曜日である。

木曜16時に発表される週末の出走馬を確認することから私の毎週のJRA業務は始まり、金曜日は専門紙でクライアント馬の人気度チェック。土日は競馬場でひたすら馬を撮り、日曜の夕方17時に翌週の特別登録を確認する。これが私の週後半のルーチンワークだった…。先週までは。

今週からしばらくの間はこのルーチンがゴッソリ消えて無くなるわけだが、いざ最初の木曜日を迎えてみると、これがなかなか落ち着かないものである。10年近く繰り返されてきた習慣を、急に変えろと言われても難しい。先週の土日もJRA競馬場には行ってないわけだが、それとはワケが違う。

午前中に来週の浦和開催の登録馬をチェックすると、特にやることもなくなってしまった。「こういう空いた時間を有効に使って何か自分のためになることをしよう!」などという前向きな思いもまるで沸いてこない。ここ数日は完全に”ニート”と化して過ごしている。

「ニート」と書いて、ふと思い出した。

Konno「川崎のエース」として活躍を続ける今野忠成騎手は、生後間もなく母親と死別した。だが、悲劇はそれだけに留まらない。父親が職に就こうとしなかったのである。現代風に言えば「ニート」にあたるだろうか。ともあれ幼少時の生活は貧困を極めた。

「一日の食事が小学校の給食しかないこともあった」と聞けば、艱難辛苦などという言葉をもってしてもその辛さは表現しきれまい。なんと言っても子供なのである。スーパーで売れ残りをもらい、近所に自生するヨモギを食べて餓えを凌いだと聞けば、同じ小学生の子供を持つ親として胸が締め付けられる思いがする。

小学三年の時、今野少年は児童相談所の紹介で藤沢市の児童擁護施設に入った。キリスト教系団体が運営していたため規律こそ厳しかったが、それにも増して三度の食事がありがたかったという。

「競馬で勝つためには、馬主や調教師との人間関係が大切。自分は施設での集団生活を通じて、それを学ぶことができた」

そう語る今野騎手は、毎年クリスマスになるとかつて過ごした施設を訪れ、「子供たちのために」と言って職員に50万円入りの封筒を渡している。子供たちの前に姿を現すことはなく、そそくさと帰ってしまうことから「サンタさん」と呼ばれている。

Keihin 

間もなく迎える南関東の大一番・東京ダービー。今野騎手は1番人気が予想されるディラクエに騎乗する。もし勝つことができれば、それこそ子供たちに最高のプレゼントになるに違いない。こんな話を紹介した私としても「勝って欲しい!」と真剣に思う。

| | コメント (0)

2008年5月21日 (水)

コーヒー好きの競馬人

昨日はビールの話だったけど、今日はコーヒーの話。

Coffee4月10日付「オムライス喰って大井へ行こう」にも書いたけど、私はコーヒーが大好き。一日に5~6杯。多ければ10杯を越える日もある。もちろん世のコーヒー好きの諸氏におかれては、さらなる杯数を数える方も数多いるだろうけど、コーヒーには飲むにふさわしい時間帯とか場所とかがあると考える人間なので、この程度でちょうど良いと思っている。

酸味の少ないマンデリンなどが好みではあるが、豆の銘柄に特別のコダワリを持つわけではない。ようは、挽きたてで煎れたてであれば文句はないわけで、そういう観点からすれば当然だが缶コーヒーを飲むということはしない。

東京競馬場と中山競馬場には行き付けのコーヒーショップがあり、競馬場に着いたらまずここを訪れて、熱いコーヒーで頭を醒ますことにしている。特別に美味いコーヒーを出すワケではないのだが、リラックスするための飲み物だから、リラックスできる店で飲むのがいちばんである。

ただし、東京に限って言えば、朝の一杯は『エクセルシオールカフェ』ということも増えてきた気がする。これは“浮気”というほど大げさなものではなく、府中本町駅から西門を通って入場する私が立ち寄りやすいだけのこと。

いや、でもフジビュースタンドの東端まで行くのって結構たいへんですよ。コーヒーショップは場所が命だとつくづく感じる。

亡くなった野平祐二氏は、たまに私の自宅に電話をかけてきて「コーヒーお好きでしょう。美味しいコーヒー煎れるから飲みにいらっしゃいよ」と誘ってくださった。なんとも祐ちゃん先生らしい誘い文句だが、実際に伺うと確かに美味しいコーヒーを出していただいたことを思い出す。そういえば先生もまた大のコーヒー好きだった。

冒頭の写真は、私の自宅近くにあるビストロ『ポップコーン』で出される一杯。こちらはカジュアルなフレンチが手頃なお値段で楽しめるということで広く常連を抱える“ローカル有名店”だが、その料理もさることながら、コースの最後に供される一杯のコーヒーがなんとも美味い。急いで読まなければならない書物や資料がある場合、ランチタイムが終わった頃を見計らって店を訪れ、コーヒーだけを注文し、ソファーにもたれてモノを読めば、面倒くさい資料チェックも「…まあ、やってやろうか」という気持ちになれるものである。

Shinsukeところで、2年前のアーリントンCを勝ったステキシンスケクンに騎乗したペリエ騎手は、レース後に「毛色はカプチーノみたいだけど、エスプレッソみたいに強かった」とコメントしていた。

たしか彼もコーヒー好きだったはず。ただ、「カプチーノみたい」なのは、毛色ではなくむしろ服色の方ではないだろうか?

| | コメント (0)

2008年5月20日 (火)

競馬場にGUINNESSを

今回はビールの話です。ダイエット中の人は注意して読んでください。なんといってもビールの話ですから。

先日、今年初めて東京ドームを訪れた時のこと。あの悪名高い”ぼったくり生ビール”を注文し、プラスチック製のコップを手に取ったその瞬間、えもいわれぬ違和感を味わうことになった。

昨年に比べてコップがあからさまに小さくなっているのである。

価格は去年までと変わらぬ800円。それだけでも暴利の謗りは免れまいが、その上に量を減らして実質値上げとは汚い。もちろん、ビールの小売り価格そのものが値上げされたという事情があることは承知している。だが、わずか400ミリリットル程度の生ビールが800円というのは庶民感覚をあまりに逸脱してやいないか。その点JRA競馬場の生ビールはまだまだ良心的だと思い知らされた。

洋の東西を問わず、競馬場の飲み物の代表格といえばビール。ディック・フランシスの競馬ミステリシリーズを読めば、必ず競馬場内のパブでビールを一杯やるシーンがあるだろうし、ドイツの競馬場に行けば場内の屋台で売られているソーセージと巨大なジョッキに注がれた生ビールがあなたを待っている。

Classic遥か昔。…と言っても旭川競馬場が今現在の場所に移転したあとのことだが、場内に『サッポロ・クラシック』の屋台が出ていて、あまりの美味さに6杯くらい立て続けに飲み続けた記憶がある。

ところが数年後に旭川を訪れると、その屋台は出ていなかった。ひょっとしたら、期間限定のイベントショップだったのかもしれない。あるいは、再訪問したのが9月下旬のナイター開催で、あまりの寒さに生ビールを買う客などいないと考えたのかもしれない。

『サッポロ・クラシック』を飲むこと自体はそう難しいことではないが、私は旭川競馬場のスタンドで十勝岳連峰に沈む夕陽を眺めながら『サッポロ・クラシック』の樽生を飲みたいのだ。その要素のひとつが欠けても、それは”目的のもの”とは呼べない。言葉で表現するのは至難だが、カチッと音を立ててきちんとハマらなければ意味は無いということです。

そんな旭川競馬場は今年いっぱいで廃止となる公算が高い。以前にも書いたように、道営競馬が今年度限りでの撤退を表明しているのである。まあ、私のささやかな楽しみのためだけに存続を願いでることができるレベルの話ではないですが。

Guinness替わりといってはなんだが、どっかの競馬場に樽生ギネスを飲めるアイリッシュスタイルのパブを作ってくんないだろか? 絶対繁盛すると思うんだけどな。

| | コメント (0)

2008年5月19日 (月)

気持ちが分かる

昨日は日本青年館というたいそうな施設を借りて、この一年間続いた「競馬とは無関係な仕事」のシメとなる某イベントに参加。絶好の“ヴィクトリアマイル日和り”ではあったが、こういう事態ではどうにもならない。

イベントの最中にウオッカが負けてしまったことを知る。武豊騎手は2日連続で1番人気馬に乗り、追い込んで届かずの競馬。わずかだが近藤サンの気持ちが分かったような気がする。

明けて今日は月曜日。

一年余りに及んだ競馬とは無関係な仕事は昨日をもって終了。今日からは晴れて自由の身だが、偶然にも同じく今日からJRAの取材パスを返上せねばならず、突如として何もやることがなくなってしまったワタクシでござる。

Kawasaki一応「南関東専門カメラマン」として新たなスタートを切ろうかと思うが、モチベーションはまるで上がってこない。南関東で撮影対象になるレースなんて重賞か中央交流の特別競走ぐらいなもので、いずれも今日は実施されない。それでも他にやることもないし挨拶がてら川崎へ。そういや、今川崎開催は重賞レース自体組まれていないんだよなぁ…。さらにモチベーションが下がる。

Kawasaki2顔見知りの調教師と出くわしてひと言ふた言ご挨拶。「今日のセリどうだった?」とか、「名古屋から吉田稔騎手が乗りに来るのが7月に決まったらしいね」とかそういった類の話。ちなみに前者は今朝実施された『千葉サラブレッドセール』の話。今の私のモチベーションではとても行こうという気にはなれず結局パスした。後者については、吉田稔ほどの騎手なら騎乗馬に苦労することはないのだろうけど、そういうこと一つとっても南関東の若手育成にはマイナスかも知れないね…、というような話。たまたまなのか、あるいは既に水面下では構造的問題に及んでいるのか分からないが、最近は南関東の調教師と話をすれば必ず「若い騎手が育たない」という話題に話が及ぶから、今後の動静には注意を払いたい。

8Rにクライアントの馬が出ていたのでゴール前で待ち構えるも、人気を裏切る形で敗北。ちょうど一週間前は目当ての馬がいとも簡単にポンポンと勝ったものだが、いったん落ちてしまった運気を再び上げるというのは容易ではなさそうだ。わずかだがウオッカの気持ちがわかったような気がする。

| | コメント (0)

2008年5月18日 (日)

ガッツポーズ考(その2)

昨日の続き。

そもそも騎手のガッツポーズなど不要、もしくは危険だからすべきではないと考えている騎手は少なくない。元騎手の岡部幸雄氏も「勝負の世界だから勝って興奮するのは理解できる。だから拳を握る程度なら仕方ないと思うが、走っている馬の上で立ち上がるような行為は人馬ともに危険」とかねてより指摘している。

Okabeそんな岡部氏の珍しいガッツポーズのシーンは、1995年の皐月賞。

 

 

 

 

Ankatsu安藤勝己騎手も滅多にガッツポーズをしないが、日本ダービーはさすがに違うようで。でも、控えめですよね。ダービーだというのに。

 

 

 

 

 

 

Dober1997年のオークスを勝った吉田豊騎手。岡部氏の指摘通りなのかは判断しかねるが、人馬がバランスを崩しかけているようにも見える。

 

 

 

 

Smile同じく2002年のオークスを勝った吉田豊騎手。彼のガッツポーズは人差し指を突き上げるスタイルが多い。

 

 

 

 

 

 

Shii同じように人差し指を突き上げたのは、昨年のダービーの四位洋文騎手。個人的には、これくらいのポーズがちょうどイイかなと思う。

 

 

 

 

Universe1やはり外国人騎手はサマになりますな。デムーロ騎手の2冠達成のシーンから。まずは2003年の皐月賞。

 

 

 

Universe2そしてダービー。

 

 

 

 

 

 

 

 

Dettori1外国人と言えば、騎手としての技量のみならず、その”アクション”まで含めて、この人の右に出るお方は世界広しといえどいないんじゃないだろか? 1996年のクイーンエリザベス2世Sを勝ったデットーリ騎手。

 

 

 

 

 

Airgでも、なんだかんだ言って、やはりいちばん絵になるのはこの人だと思う。フレームいっぱいを使ってもっとも見栄えのする格好をしてくれるし、スタンド側の手に鞭を持ち替えてから手を挙げるなど”魅せる”騎乗に対する意識も高い。1997年の天皇賞・秋。

 

 

 

 

 

Timeparadox2005年の帝王賞。

 

 

 

 

 

Varm去年のJCダート。

 

 

 

 

 

Meishoそして去年の天皇賞・秋。

 

こういった様々な瞬間を捉えることができるのなら、撮影位置がゴール板から遠く離れていたとしても、決して悪い気はしないものである。

 

さて、来週からはどうしたものか…。

(この項終わり)

| | コメント (0)

2008年5月17日 (土)

ガッツポーズ考(その1)

昨日の続き。

ゴール板から遥か離れた地点での撮影を余儀なくされているカメラマンの多くは、勝利騎手のガッツポーズを期待している。それは原則的にゴール板付近に陣取る“格上”カメラマンのレンズでは捉えることが難しいシーンであり、その撮影に成功することは、競馬カメラマン社会の格差を覆す“革命”を成功させることを意味する。

ただし、それがガッツポーズである以上、キマっていなければまるで話にならない。ジョッキーの表情。挙げた手の角度と高さ。そしてフレーム内における人馬のバランス。偶然に左右される要素もあるが、騎手によってその見栄えは大きく変わってくる。

まず馬上で立ち上がってしまう騎手。見るひとによって個人差があるだろうが、フレーム内でのバランスが悪いので私はあまり好きではない。JRAの騎手で言えば、蛯名正義騎手がよくこれをやる。

Matsuri_2例えば去年の有馬記念。立ち上がるだけでなく、観客席と反対側の手を挙げられてしまった。これではちょっと絵になりづらい。

 

 

 

 

 

 

Cafe_32001年の有馬記念も立ち上がり気味だった。バランス的にしっくりこない。

 

 

 

 

 

 

 

Justice変わって1997年有馬記念の藤田騎手。これくらいの腰の浮かせ具合だと撮る側としては助かる。

 

 

 

 

 

 

Hokutoカメラの位置を意識してポーズを取る余裕のある騎手もいる。横山典弘騎手なんかが該当しそうだ。1996年の川崎記念。

 

 

 

 

Hokuto2同じ年の帝王賞。

 

 

 

 

 

Seiunsky1998年の皐月賞。

 

 

 

 

 

Daiwa後藤騎手が勝つと「何かをやってくれる」と期待と緊張が入り交じる。2000年の中山記念。

 

 

 

 

MilegrandprixJRAに移籍した内田博幸騎手の場合は、手を真っ直ぐ突き上げる傾向にあるので、フレームからはみ出してしまうことが多い。撮る側は注意を要する。1997年のマイルグランプリは鞭の先が切れた。

 

 

Ajudiそして2004年の東京大賞典。今度は完全に手から切れてしまった。

もちろん内田騎手に非などあるはずもなく、完全に撮影者側の技量不足。せっかくの見せ場でこうしたミスを犯してしまうと、もの凄くヘコむものである。

(明日付に続く)

| | コメント (0)

2008年5月16日 (金)

ゴールから遠く離れて

Photoひとくちに「競馬の写真」と言っても用途・目的は様々あるが、一般的には背景にゴール板が写し込まれたカットでかつ勝ち馬の脚の形が美しいものが求められる。さらに選別を極めれば「脚の並び」よりも「ゴール板の有無」の方が優先されるケースが多い。「なんでこんなみっともない瞬間の写真をわざわざ使うんだよ!」と訝ることもしばしばだが、「ゴール前写真」と銘打つなら、ゴール板は必須アイテムなのかもしれない。ともあれクライアントがゴール板にこだわる以上は、現場のカメラマンもゴール板に執着せざるを得なくなってくる。

ゴール板と勝ち馬とを一緒に写し込むには、ゴール板に近いところで撮る必要があるのは言うまでもない。

だが、そのようなポジションは限られており、勢い場所取りは熾烈を極める。特にGⅠレース開催日などは普段競馬場に来ないようなTVクルーや一般雑誌のカメラマンでごった返すので皆殺気立っており、場所取りだけでグッタリ疲れてしまうこともある。そんなことに神経を使うのはどう考えても時間と労力の無駄なので、最近ではこの“場所取り祭り”に参加することは控えるようにしていたが、昨日付けで書いたような事情から今後しばらくは”祭り”に参加する必要すら無くなってしまったことになる。

ちなみに、以前はこんなことはなかった。

基本的に場所取りは早い者勝ちで、本人の努力次第で良いポジションが確保できたのはそう遠い過去の話ではない。私の記憶違いでなければ、マヤノトップガンが勝った有馬記念はまだそういうルールだった。ただし、明文化されたルールが無いだけに、最低限のマナーや“暗黙の了解”はしっかりと守られていたように思う。

ゴール板の真正面から5人分はJRA専属カメラマンのエリアで、ココはGallopの●●さん、あそこはブックの■■さん、と言った具合。マナーを知らぬ新参者がいれば、ちゃんと注意する親方格のカメラマンがいたし、見知ったカメラマンが何かの事情で遅れてくれば、誰かが号令をかけて5センチずつでも詰め合ってポジションを譲ってあげたものである。

ところが今はJRAによってカメラマン一人一人が細かく格付けされ、それぞれの撮影場所は原則この“格”によって配分されている。「格差社会」特有の現象なのか、カメラマン同士で場所を融通し合うという光景もあまり見かけなくなったし、マナーを知らぬカメラマンを注意する親方も今はいない。マナー違反を咎めるならば、その旨をJRAの職員に告げてコトを荒立てる必要がある。

ちなみに今週までの私自身の格は”最低ランク”だった。そして来週からは”ランク外”となる。

私自身はゴール板に命をかけるほどの仕事をしていたわけではないので、特に昨今のGⅠレースでは、勝負が決したあとの人馬を撮ってばかりだった。首尾よくゴール近くのポジションをゲットした“格上”のカメラマンが、わざわざやって来て、「この位置ですと、今日は(勝利騎手の)ガッツポーズ狙いですか?」なんてイヤミを言ってくるのにもすっかり慣れていた。

Mejar_3でも、そういう  たとえばガッツポーズ狙いの  側面があることはこちらとしても否定しない。勝負は終わっても、馬はまだ走り続けているのだし、勝利騎手の興奮はゴール板を過ぎた後にやってくる。その日いちばんの感動は、ゴールの瞬間ではない他の一瞬に訪れないとも限らないわけだ。極端な話、負けた馬が主役のレースだってある。だらこそ「どこで撮るか」ということにこだわるよりは、「何を撮るか」という原則的な事柄に神経を集中させるべきなのだろう。

(明日付に続く)

| | コメント (0)

2008年5月15日 (木)

一喜千憂

大手町で「競馬とは無関係な仕事」を終えたのが20時ちょい前。丸ノ内線、山手線、モノレールと乗り継いでも東京プリンセス賞には間に合うはずもなく、例によってこの「競馬とは無関係な仕事」を呪うハメに。

しかし、実はひとつ嬉しいニュースがある。

この「競馬とは無関係な仕事」に、私はこの一年の間、ことあるごとに苦しめられてきたわけだが、実はその仕事が今週末をもって終了するのである。「ひと区切り」とか「中断」ではなく、完全なる「終了」。もう二度と関わることはない。週末にカンヅメにされることもなければ、土曜のたびに名古屋に行かされることもない。膨大な量のメモ起こしともオサラバだ。

残された”最後のおつとめ”のため、今週末の京王杯SCとヴィクトリアマイルに行けないのは残念至極だが、肝心のオークスとダービーには間に合えば御の字。そう考えれば、東京プリンセス賞に行けないことなど些細な問題と納得もできる。

しかし、そんなささやかな私の喜びを一瞬で掻き消さんばかりの、超弩級の激しい災厄が突如この私を襲った。

来週からJRA競馬場での撮影ができなくなってしまったのである!

いや、スケジュール的には問題ない。なにせ私の手足を縛りつけていた「競馬とは無関係な仕事」は葬り去られたのだ。

じゃあ何か? 実際のところJRAで撮る「仕事」がなくなってしまったのだ。いや、「なくなってしまった」というよりは「取り上げられてしまった」と書いた方が正しい。

理由を書けば長くなるが、大きいところでは今年に入ってからほとんどJRA競馬場に行けてなかったことが大きく影響している。このブログを読み返すとよく分かるが、今年撮った重賞レースがスプリングSと皐月賞だけというザマでは…ね。私がクライアントなら、こんなヤツに仕事頼まないもんなぁ。

それにしても、競馬場に行けるようになったまさにその週から、逆に競馬場に行く理由がなくなってしまうなんて出来過ぎた話にもほどがある。実は今までにも「JRAで撮れなくなる」的危機は何度か訪れたことがあるのだが、いずれも手続き上の問題で、膨大な量の手順を丹念に辿って、どうにか復旧にこぎつけることができた。が、しかし、今回の一件はマザーボードからイカれてしまっている感じ。「復旧」ではなく「買い換え」を考えてなくてはならない。

何より時期が時期である。オークスやダービーの直前だけに、さすがの私もすっかり力が抜けてしまった。この一年というもの、ただひたすら競馬とは無関係な仕事に追い回されて、挙げ句の果てがこんな仕打ちというのはちょっとひどい。

それでも、「南関東ではこれまで通り撮れる」という事実はせめてもの救いだ。こうなったらもはや、6月1日は府中ではなく大井に行かなくてはなるまい。今の私にすれば、撮れないダービーよりも、撮れるゲンマ賞の方が大事なのだ。

| | コメント (0)

2008年5月14日 (水)

戸崎騎手”プチ”スランプ脱出

月曜日の大井競馬場。とある牧場関係者が、大井の戸崎圭太騎手について「ただいま絶不調」と評していた。

Anpa栃木県出身の27歳。初騎乗で初勝利という離れ業を演じたデビューからまる10年が過ぎ、昨年はアンパサンドで東京ダービーも制覇。いつの間にか“若手”の領域から抜け出して、今では「ポスト内田博幸」の一番手と評する声もある。ちょっとばかり勝てなくなったところで「不調」の誹りを受けるのは、それだけ視線を集める立場にいることの証だろう。

「不調」という話が出たのは、一昨日付「勝って、そして驚いた」にも書いた月曜の大井最終レースの直前。私たちが応援していたガイナヤツ(牡4)は1番人気に推されてはいたものの、鞍上の戸崎騎手は8日の船橋2Rをナイキチャーミングで勝ったのを最後に、その直前のレースまでいっさい勝っていなかったのである。その間の騎乗回数は24鞍。うち、1~3番人気馬への騎乗回数が過半数の13回と聞けば、「不調」という言葉も自然と重みが増す。

しかし、そのレースで彼は25レースぶりの勝利を飾ることになる。もちろん戸崎騎手とて人間だから、体調や精神状態に一点の曇りの無い日などそうそうあるまい。ましてや競馬。走るのは馬である以上、巡り合わせで勝てないレースがたまたま連続することもあろう。人気を裏切る結果が続いていたのも、「鞍上、戸崎」という要素が人気を押し上げる方向に働いていると思えば仕方のない部分もある。

私個人は戸崎騎手に悪い印象を持っていない。ボンキュッボンに乗って勝ってくれたから良い印象があるのは確かだが、競馬場での彼の所作、礼儀作法を見ていれば、悪い印象を抱けという方が難しい。

こと大井に限れば  神様(的場文男騎手)は別格として  内田博幸騎手が抜けた穴は御神本訓史騎手、坂井英光騎手、そして戸崎騎手の3人が争う構図。だが、南関東4場で見れば、一昨年の南関東リーディングトレーナーの川島正一調教師(船橋)と、昨年のリーディングトレーナー・池田孝調教師(川崎)の双方から依頼を受ける戸崎騎手が一歩リード。川島正一厩舎の馬で、船橋記念(ディープサマー)、ダイオライト記念(フリオーソ)、しらさぎ賞(アストリッド)を、そして池田厩舎の馬では桜花賞(フィリアレギス)を勝っており、既に今年は重賞を4勝。中身も伴っている。

とはいえ、見る人が見ると「戸崎はまだまだ」という意見も多いようだ。このブログへのコメントにもそうした意見を頂いているが、現場でも「追い比べになったら御神本の方が遙かに上」という意見が大勢を占めているし、私もそれは認めるざるを得ない。戸崎騎手は”頭で乗って勝っている”という印象を多分に受けるのも事実。しかし、それでも結果を残しているのだから、決して見劣るものではあるまい。むしろ大きなアドバンテージでもある。

ガイナヤツで一昨日の最終レースを勝った戸崎騎手は、昨日の大井で3勝を挙げると、今日の大井でもきっちり3勝。”プチ”スランプは脱したように思える。

そういえば、「私の知人が彼と遠い親戚説」というのもあったが、その真偽は謎のままだ。最初のうちは「どうやって確認したら良いだろうか?」などと思い悩んだが、最近になって別にどうでもイイやと思うようになった。だって、「私と親戚」ってワケではないんだもの(笑)

| | コメント (0)