【若手騎手なぜ伸びぬ②】見習い騎手嫌がる厩舎
先月のこと。メインにディセンバーSが行われた中山競馬場の昼休みに、競馬学校騎手課程24期生の生徒3人による騎乗供覧が行われた。
このブログを読んでらっしゃる方なら、これを見て問題意識を持たれたことと察する。例年なら「模擬レース」として行われるはずのイベントだが、今回に限り「騎乗供覧」として実施された。普段の年なら10人前後の3年生がいるのだが、今回はわずかに3人を数えるのみ。レースをしなかったと言うよりも、「したくてもできなかった」と言う方が正しい。
今春にデビューを予定している24期生は、総勢7名が3年前の春に競馬学校に入学した。ところが、2年後にあたる昨年の4月。阪神競馬場で行われた『ブリーズアップセール』において、上場馬の騎乗役を務めた競馬学校3年生はわずか4人だった。2年間で3人が抜けたことになる。
さらに、この10月に競馬学校で行われた『模擬レース』に参加した3年生は、春から1人少ない3人。7人の24期生のうち、実に半数以上の生徒が「3年後の騎手デビュー」に辿り着けなかったことになる。
「競馬場には”見習い”ではなく”完成品”を送り出す。ついて来れないやつは容赦なく落とす」
こうした競馬学校の方針の転換には、現場(厩舎)の状況が如実に反映されていて、特に批判する材料は見あたらない。
数年前までは、「JRA競馬学校入学」とは、すなわち「3年後の騎手デビュー」を意味していた。しかし、ここ数年の外国人騎手や地方所属騎手の台頭により、「免許はあっても乗る機会がない」という騎手が増えたことは昨日付から書いてきた通り。「成長の余地を残す仕上げで競馬場に送り出し、あとは現場で育てる」といった悠長な時代ではなくなった。結果として”少数精鋭”への方針転換を余儀なくされたのである。
若手騎手に騎乗機会が与えられない理由のひとつが、近年の厩舎事情だ。
競馬学校を卒業した新人騎手は、全員が特定の厩舎に所属する”所属騎手”として騎手生活をスタートさせることになるが。近年では進んで新人を引き受ける調教師がほとんどいないため、なかなか所属先が決まらないという。実際、所属厩舎決定の最大の決め手は、親類や馬主などの人脈。いわば「コネ」。何のコネもなく競馬学校に入学し、無事卒業できたとしても、肝心の騎手デビューに際して苦労を重ねることになる。
厩舎が見習い騎手を抱えるのを嫌がる最大の理由は、成績が落ちるリスクである。
見習い騎手を一人前に育てるには、ある程度レースで乗せる必要がある。むろん自厩舎の馬に優先的に乗せるのだが、技量が未熟であればこそ、普通の騎手なら勝てたはずのレースを取りこぼすことも多くなる。成績が落ちればメリット制による馬房削減の対象にもなりかねないし、怒った馬主が馬を引き揚げることも考えられる。それが、また成績低下を引き起こす。ひとたび成績低下スパイラルに陥れば、そこから抜け出すのは簡単ではない。そんなリスクを冒してまで、見習い騎手を育ててみよう!という奇特な調教師はそうそういるものではない。
例外的に、リーディング上位ながら見習い騎手の受け入れに協力的な調教師といえば、関東の藤沢和雄調教師くらいではないか。減量特典の無くなった若手騎手が騎乗機会を与えられないことについても、原因を探れば同じ理由に辿り着く。
(明日付に続く)
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