岩手競馬は3月下旬に5日間予定されている「特別開催」を残して、今季の通常開催日程が終了した。3度にも渡るコスト調整でどうにか来年度の存続は決まったものの、売り上げは下方修正を重ねた末に計画比を0.6%上回ったのみ。まさに「帳尻合わせ」を地で行くコスト調整だった。
コスト調整のあおりで、競馬組合職員の冬のボーナスが全額カットされたことは既に書いた。住宅ローンを抱えた人もいるだろうにと、他人事ながら心配になる。しかし、苦しいのは職員だけでは もちろん ない。コスト調整の大部分は「賞金の減額」でまかなわれる。
既に存廃論議の渦中にあった昨年の1月。岩手競馬における最下級条件戦の1着賞金は25万円だった。それが4月には20万円、7月には18万円とコスト調整の度に削減され続け、ついに昨年11月のコスト調整を経て現在の15万円に至っている。
賞金の減額は厩舎関係者の生活を直撃しているが、昨年の存廃騒動の中で、「競馬を残してさえくれれば大幅な賞金減額も構わない」という手形を切ってしまった以上、あからさまに賞金減額に異を唱えることもできない。とはいえ、「もしこれが底でないのなら、もう続けられない」という弱音も漏れ聞こえ始めている。「4度目」のコスト調整が来た時、もはやついて行けぬとドロップアウトする人が続出する可能性もある。
私個人は、昨年3月の劇的な県議会の展開をハラハラしながら注視していた身として、2007年は「再生元年」と呼ぶに相応しい一年になるのだろうと、内心期待していた。
むろん、端から見ているだけの人間の勝手な期待である。だから、その期待が裏切られたからと言って誰かを責めたいとも思わないのだが、不満の残る一年であったことは間違いない。おそらくそういう思いを抱く人は多いと思う。
岩手に赴任している某全国紙記者の話によれば、「競馬場の雰囲気は昨シーズンとまるで変わらなかった」と言う。こちら(東京)で感じていたこともまったく同じ。それならば現地へ行く必要もあるまいと、この一年間私は盛岡にも水沢にも行くことはせず、ただひたすら東京競馬場フジビュースタンド1Fの岩手専用場外で、ベタベタと岩手の馬券を買い続け、ドロドロと財布の金を溶かしていた。
来季こそは負の連鎖を断ち切れるか。関係者が地域に積極的に出向いてファンと競馬場との距離を縮めるなど、再生に向けて「変革」を実感できる取り組みが欠かせなくなってくる。
来季から本格導入される「民間委託拡大」に関する説明会には、有名IT企業など14社からの参加申し込みがあった。もちろん、民間企業のノウハウだけでは競馬復興を成し遂げることはできない。地元自治体や近隣住民の理解と協力が不可欠だ。帯広ばんえいでも、「ソフトバンク」だけでなく、「帯広市」と「地元住民」の3者が互いに知恵を出し合い、協力したことによって現在のような復調局面にまで漕ぎ付けることができたのである。
そういう意味では、水沢はまだどうにかなるのではないかと思うのだが、一方で盛岡の先行きには懸念を覚えずにいられない。今年度の盛岡競馬場は、売上で前年比23%減、入場者でも前年比12.5%減と、比較的安定していた水沢に比べて大幅に落ち込ち込んだ。さらに書けば、こうした事態に及んでもなお、盛岡市長は競馬支援に関していっさいの言及をしなかった。
達増知事をはじめ、盛岡、奥州両市長、さらにあまねく競馬関係者たちは、330億円もの血税を投入して競馬を存続させたその「意義」を県民に伝え、十分理解してもらう義務がある。そしてその義務は、「再生元年」と位置づけられた今年度中に達成しなければならなかったはずだ。それが果たせなかったツケは、いずれ間違いなく回ってくる。
今年度はあと2ヶ月余り残されている。今から動いても決して遅くはないと思うのだが……。
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岩手県競馬存廃に関する、当ブログの過去記事。
2006年1月9日付 トウケイニセイ記念
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_59cf.html
2006年3月8日付 堀江はいずこ?
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_e780.html
2006年3月23日付 計画続々② ~盛岡~
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_7143.html
2006年9月22日付 岩手競馬改革計画まとまる
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_e2d8.html
2006年9月23日付 東北の雄の誇り
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_0a06.html
2006年11月12日付 開催変わりのない競馬
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_6e7f.html
2007年1月20日付 岩手存廃問題 続報
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_2187.html
2007年1月29日付 岩手存廃問題 続々報
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_bf18.html
2007年3月16日付 《速報》岩手競馬重大局面
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_61dd.html
2007年3月16日付 《続報》岩手競馬 廃止へ
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_f85c.html
2007年3月16日付 《続報その2》奥州市の動き
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_faac.html
2007年3月16日付 《続報その3》賛否の議員名
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_69d8.html
2007年3月19日付 岩手競馬① 本日ヤマ場
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_0cac.html
2007年3月19日付 岩手競馬② サスケ議員辞職
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_f474.html
2007年3月19日付 《速報》岩手競馬存続へ!
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_7c0e_1.html
2007年4月9日付「ビジョン無き”競馬再生”」
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_91b7.html
2007年9月30日付「キーワードは「民間委託」」
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_8878.html
2007年10月17日付「JBCに岩手からの登録なし」
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_a39b.html
2007年10月18日付「変わらぬ依存体質」
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_547c.html
2007年10月19日付「”収支均衡”を棄てた岩手」
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_6e61.html
2007年12月4日付「”収支均衡”から”縮小均衡”へ」
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_3c65.html
2007年12月20日付「ダービーグランプリ廃止へ」
http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_0e75.html
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