セリ終了後の攻防
昨日の続き。
土壇場にならなくとも、午前の展示の段階でお台が安く修正されることは間々ある。
展示時、バイヤーから「いくら?」と聞かれて「400万」と答えていた馬でも、セリの段になって鑑定人が「お台は350万円からでございます」と切り出すことがあって少々驚かされた。展示時のバイヤーとのやりとりの中で「400万では厳しい」という感触を得れば、思い直す販売申込者がいてもおかしくはない。バイヤーの顔色を見れば、その価格設定を相手がどう思ったかはある程度想像がつくものなのだ。
絞りに絞って「400万」とお台設定した馬を、「350万もやむなし」と決断するのは、おそらく断腸の思いがするものだろう。しかし一方では、ひと声も掛からず主取りになることへの不安も頭をよぎる。それを”生産者の弱気”と言ってしまえば確かにその通りかもしれないが、「売るためのセリ」と割り切ったとすればある程度の経営判断も必要とされる。実際には「売れないよりはまし」とばかりに、叩き売りのような金額で落札されるケースが少なくない。
もちろん、主取りに終わった馬が会場から出てきた途端にその馬の引き手に声を掛け、「●●●万でどうだ?」と声を掛けるバイヤーの数は一人や二人ではない。「主取り」となってヘコんでいるところに「買うよ」と言われれば、救われた気持ちになるのかもしれない。主取りに終わった馬の多くが、こうした形で次々と買われて行く。
ちなみに、この場所には「この付近での家畜商取引を禁じる」との通達が出されているのだが、そんなものおかまいなしに、熱心な価格交渉が展開されている。「こっちが本当のセリ」と言い切るバイヤーすらいるのだから恐れ入る。
(セリ会場から出てきた馬に視線を送るバイヤーたち)
中には、お台400万円で声が掛からず主取りとなった馬が、セリ会場の外で400万で取引されるケースもある。だったらセリで落札すれば良いじゃんか!と突っ込みたくもなるが、こうすることによって、買う方にしてみれば消費税20万円が浮くことになる。ケチ臭いと言えばケチな話にも聞こえるが、それでもある程度希望額に近い金額で売れるのだから、まだマシか。
これだけ売れないセールともなると、もはや売るのは諦めて「お披露目」と割り切る生産者も出てくる。買う方にしても「いま慌てて買う必要もない」と思っているだろうから、どうしても模様眺めのセリが続いてしまう。結局、他人と希望馬がかち合って「セリ上げる」という本来のセリらしい光景に貢献していたのは、相変わらずJRAと岡田繁幸氏のみ。その岡田氏は、大雨に祟られた2日目午後のセリでも、傘も差さずにじいっと一頭一頭馬を吟味していた。馬を見始めたら他は何も見えなくなるとも言われるこの集中力こそが、氏の相馬眼のエッセンスなのかもしれない。
(明日付に続く)







































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